بِسْمِ اللّهِ الرَّحْمَنِ الرَّحِيمِ
سُبْحَانَ الَّذِي أَسْرَىٰ بِعَبْدِهِ لَيْلًا مِّنَ الْمَسْجِدِ الْحَرَامِ إِلَى الْمَسْجِدِ الْأَقْصَى الَّذِي بَارَكْنَا حَوْلَهُ لِنُرِيَهُ مِنْ آيَاتِنَا ۚ إِنَّهُ هُوَ السَّمِيعُ الْبَصِيرُ

 

قَالَ رَسُولُ اللَّهِ صَلَّي اللَّهُ عَلَيْهِ وَسَلَّمَ:
لا تُشَدُّ الرِّحالُ إلاَّ إلى ثَلاثَةِ مَساجِدَ: المَسْجِدِ الحَرامِ، وَمَسْجِدي هَذا، وَالمَسْجِدِ الأَقْصى

 

尊敬すべき信仰者の皆様にとり、祝福された金曜日でありますように!

私たちの全能の主は、以下の章句においてこう述べておられます。「かれに栄光あれ。そのしもべを、(マッカの)聖なるマスジドから、われが周囲を祝福した至遠の(アル・クドゥスの)マスジドに、夜間、旅をさせた。わが種々の印をかれ(ムハンマド)に示すためである。本当にかれこそは全聴にして全視であられる。」

私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、次のハディースにおいてこう語っています。「宗教的な崇拝のために訪れるのが良い三つのマスジドがある。すなわち私のこのマスジド(マディーナ)、マスジド・アル・ハラーム(マッカ)、そしてマスジド・アル・アクサーである。」

兄弟、姉妹の皆様!

アル・クドゥスは、私たちにとってかけがえのない存在であります。アル・クドゥスは、私たちにとって絶えることのない憧れの存在であります。アル・クドゥスは、多くの預言者たちがタウヒードの成就のために励(はげ)んだ町であります。その名もその佇(たたず)まいも、祝福された聖なる町であります。アル・クドゥスとはアル・クドゥスィ=アッ・シャリーフ、すなわち「神聖かつ高貴」なものです。あるいは、バイトゥル・マクディス(聖地)とも呼ばれています。アル・クドゥスとその近隣には、イブラーヒーム、ヤアクーブ、ムーサー、スレイマーン、そしてイーサーといった多くの預言者たちが住み、何世紀にも渡り、多くの文明のゆりかごとなってきました。イスラーゥとミゥラージュを通して、そのアル・クドゥスの、最後の聖なる客人となったのが、私たちの師ムハンマド・ムスタファー(彼の上に祝福と平安あれ)であります。加えてイスラームの最初のキブラであるマスジド・アル・アクサーも、アル・クドゥスにあります。

アル・クドゥスとマスジド・アル・アクサーは、預言者から私たちに託された吉報であります。アル・クドゥスは、すべての信仰者たちが愛する尊ぶべき町であります。アル・クドゥスは、単なる土地の一区画ではありません。アル・クドゥスは、単にパレスティナやマスジド・アル・アクサー近辺に住まう人々に限らず、すべてのムスリムと人類に共通する課題なのであります。

親愛なる兄弟、姉妹の皆様!

ウマルの征服により、アル・クドゥスには平安がもたらされました。ムスリムはアル・クドゥスを、何年もの間、公平かつ公正な法に従って統治してきました。彼らはあらゆる人々の生命、財産と信仰を尊重しました。事実、ムスリムではない人々さえも、自分たちの間の紛争についてはイスラームの正義を求めたほどです。しかしそのアル・クドゥスが、平安と静謐(せいひつ)の要(かなめ)であるダールッ・サラーム(「平安の館」)が、長きに渡って壊滅的な被害を蒙(こうむ)り、血を流し続けています。今日(こんにち)、アル・クドゥスは私たちの癒(いや)されぬ傷口であり、絶えることのない痛みであります。あらゆる種類の攻撃に苦しめられ、アル・クドゥスは平安の町ではなくなってしまいました。預言者の町で、絶えず銃撃が行われています。罪のない人々が、命を奪われています。

兄弟、姉妹の皆様!

アル・クドゥスとその周囲に住む人々は、抑圧、暴力、隔離といった非人道的な行為にさらされています。人間の生存、信仰、思想の自由は無慈悲に奪われ、アイデンティティや人格、尊厳と名誉が攻撃の的(まと)にされています。信仰者たちがアクサーのマスジドから遠ざけられたのはさほど遠い昔のことではありません。そして今、アル・クドゥス全体が侵略されようとしています。 人類と昔ながらの伝統、そして国際法を完全に無視した無理解が、アル・クドゥスをイスラエルの首都にしようという試みとなっているのです。

そうした無思慮な試みは、アル・クドゥスとその周辺地域を紛争と騒乱の地にしてしまうことが理解されねばなりません。そのような試みは容認し難く、人類に共通の認識と良心に大きな打撃を与えるものであります。それは平和と秩序、安全を破壊する危険な一歩であります。

親愛なる信仰者の皆様!

暴力や抑圧、戦争や移住といったマイナス面における発展のために、人類は大いなる苦痛を味わっています。これらに加えて、アル・クドゥスに対するこのような試みは、先見性と洞察に欠け、慈悲も良識もなく、すべての人々の共通の認識を大いに乱すものであります。私たちに課されているのは、こうした否定的な進展を決して同意しないことであります。世界のどこにいようと、犠牲者であろうとなかろうと、間違いや不正は決して容認してはいけません。

イスラームの諸国や、人類に降りかかるあらゆる災害や抑圧、兄弟や姉妹たちの苦難から、多くの教えが得られるのは事実であります。できうる限り、ただちにウンマの意識をもって私たちの信仰の同胞愛を強めてゆきましょう。お互いの尊厳と権利を守り合いましょう。今ある困難、苦痛、損失の状態から、自らを解放するためにも、もてる力のすべてを注ぎましょう。自らの信仰と価値観に生き、それを未来の世代へと託してゆきましょう。

1 Al-Isra, 17/1.
2 Sahih Muslim, The Book of Pilgrimage, 511.