親愛なる信仰者の皆様!
神(アッラー、スブハーナ ワ タアアラー)は存在を創造し、物理的・社会的な法の秩序を定めたまいました。たとえば、水は摂氏百度で沸騰し、摂氏零度で凍ります。物体は、支えがなければ重力によって上から下へ落ちます。社会において売買春が増加すれば、法によらない子どもたちが増加し、間接的に、平和と安全が脅やかされることになります。貧しい者、困窮している者を援助しなければ、社会的な階層が生じ、それはやがて社会的な暴発をもたらすことになります。ですから、先ほど例にあげた通り、ものごとを判断するのに、最も賢明な御方である神は、法の秩序を定めたもうたのであります。 主は、自らが定めたもうたこれらの法を、主のしもべである私たちが探し当てることを望んでおられます。そうすることにより、法に沿った人生を送れるようになれるからです。法を探求し、法に沿って人生を送ることは、スンナトゥッ=ラーフ、すなわち神の法に沿うことを意味します。このような観点から見ると、たとえば、水の浮力によって浮かぶ船や、空気圧と、燃料の燃焼が生み出す熱によって動く飛行機のエンジン、高度なテクノロジーによって、距離をものともせずに交わされる会話など、これらはすべて、主によって完全に確立された物理的な法に従っているからこその成果ではないでしょうか? あるいは、すべての権力を掌握しているものと信じ込み、滅亡するとは夢にも疑わなかった多くの帝国について考えてみましょう。それらはすべて、社会的な法を無視した結果として滅亡したのではないでしょうか? ムスリムは、何よりもまずクルアーンと世界とに散りばめられた手がかりによって糸口をつかみ、これらの法を探り当て、秩序に沿った人生を送るよう努め(つとめ)なくてはなりません。そうすればムスリムは、あるべき人生を果たせるようになり、主により近い、愛されるしもべとなれるのです。ここから、次のような結論が導きだされます。すなわち、怠惰(たいだ)やエゴイズム、嘘をつくこと不道徳、不公正といった悪しきふるまいはムスリムが絶対に避けるべき病(やまい)であるということです。なぜならそうしたあり方の結果として、人はスンナトゥッ=ラーフに対する無知による害へと後戻りさせられてしまうからです。その害は現世において蒙る(こうむる)こともあれば来世に持ち越されることもあり得ます。

金曜日のお祈りのホトバ 「タドビール(聡明)とタクディール(認識)」
金曜日のお祈りのホトバ 「タドビール(聡明)とタクディール(認識)」

親愛なる兄弟、姉妹の皆様! ここでお伝えしようとしているのは、タドビール(聡明)と、タクディール(認識)の関係とはスンナトゥッ=ラーフであるということであります。たとえば、ヘルメットを使用するといったタドビールを得ることなしに、岩石を揺らしたり、持ち上げようとしたりすれば、岩石の塊(かたまり)が頭にぶつかり、それが原因で死に至るということもあり得ます。あるいは長い時間をかけて勉学に励もうともタドビールを修得していないようなら、同じように長い時間をかけて勉学に励みタドビールを得ている者の方がはるかに進歩していることでしょう。次の世代のために道徳の枠組みを構築していないようなら、次の世代の人々は不道徳の状態に陥り(おちいり)神聖なものを受け入れないようになることでしょう。どのような結果にも必ず何かしらの理由があるものだということをどうぞ忘れないでください。何であろうとも、自らの蒔いた種であれば、必ず自ら刈り取らねばならない時がやってきます。蒔いたなら蒔いた分だけ、刈り取ることになります。「人間は、その努力したもの以外、何も得ることは出来ない。」これがタドビールであります。別の言葉で表わすならば、それは努力と十分な準備を整えるということを意味しています。そうでなければどうして全世界の導師である預言者(彼の上に祝福と平安あれ)が無知の父祖と呼ばれるアブー・ジャフルの許を、三十回以上に渡って訪問したりなどするでしょうか。なぜ彼(彼の上に祝福と平安あれ)がマディーナへの移住の途中で洞窟に身を隠したりなどするでしょうか。ハンダクの戦いの際、彼(彼の上に祝福と平安あれ)がマディーナの周囲に塹壕(ざんごう)を掘ったのはなぜでしょうか? 災難に襲われるたびに、預言者(彼の上に祝福と平安あれ)がただ座してじっと奇跡を待っていたことなど、あったでしょうか?そうではなく、預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、神が確立したもう法に従ったのであります。そのようなあり方で預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、主の最も愛するしもべたることを欲したのです。そしてまた一方で、私たちの模範ともなられたのであります。これからはタドビール、すなわちスンナトゥッ=ラーフを正しく理解するよう努めましょう。自分自身とすべてのムスリムたちのために主の法において何が私たちの短所となっているのかを見つめ直しその方向でタドビールを実践してゆきましょう。タドビールの後には神(アッラー、スブハーナワタアアラー)の全能によってタクディールが生じます。 神(アッラースブハーナワタアアラー)こそは叡智の所有者であられます。何ひとつ、叡智によらずあるいは戯れ(たわむれ)のために創造されたものはありません。神(アッラー、スブハーナワタアアラー)こそは立法者の中でも最も優れた御方であり、最も優れた方法で確立された御方であられます。