﴿ أَلْهَاكُمُ التَّكَاثُرُ* حَتَّى زُرْتُمُ الْمَقَابِرَ* كَلَّا سَوْفَ تَعْلَمُونَ* ثُمَّ كَلَّا سَوْفَ تَعْلَمُونَ* كَلَّا لَوْ تَعْلَمُونَ عِلْمَ الْيَقِينِ* لَتَرَوُنَّ الْجَحِيمَ* ثُمَّ لَتَرَوُنَّهَا عَيْنَ الْيَقِينِ* ثُمَّ لَتُسْأَلُنَّ يَوْمَئِذٍ عَنِ النَّعِيمِ ﴾

兄弟、姉妹の皆様にとり祝福に満ちた金曜日でありますように!
願望と幻想に手をひかれ、野心と欲望の渦の中へ引き込まれていく人類に対し、全能の神はひとつの重大な問いを、次のように尋ねておられます。「ファー アイナ タズハブーン」、すなわち「あなたがたはどこへ行くのか」「人類よ、あなたがたはどこへ向かうのか?自らの道について、分かっているのか?」。
この祝福されたラマダーンの月、クルアーンの月において、私たちは今一度(いまいちど)、自らに対してこれを問い直さなくてはなりません。私たちは自らを糺し(ただし)、しっかりと真っすぐに立たねばなりません。そしてこの問いにどう答えるのか、よく考えてみる必要があります。
尊敬すべき信仰者の皆様!
ラマダーンとは、この問いに対する回答を、自ら経験することのできる、最も優れた時期のひとつであります。ラマダーンは、私たちが忘れていたことを思い出させてくれます。私たちに、じっくりと物事を考える機会を与えてくれます。クルアーン、サラート(礼拝)、ズィクル(唱念)、タウバ(悔悟)、サダカ(慈善)、そしてドゥア(嘆願)によって、ラマダーンは私たちの精神に落ち着きをもたらします。日の出からイ
フタールまでの断食が私たちにもたらす空腹は、諸悪の根源である貪欲という名の、もうひとつの飢餓(きが)の治癒(ちゆ)であります。クルアーンにおいては、その根源とは「タカースル」、すなわち蓄財を自慢し、競争し合うことにあると解き明かされています。スーラトゥル・タカースル(蓄積章)において、全能の主は私たちに、次のように仰っておられます。「アル ハーク ムッ タカースル、ハッター ズルムトゥル マ
カービル」すなわち、「あなたがたは現世の持ち物の多いことを張り合って現(うつつ)を抜かす、墓に追い立てられるまでも。」「カッラ サウファ タアラムーン、ス(ン)マ カッラ サウファ タアラムーン」すなわち、「いや、やがて(死後)あなたがたは(その真実を)知るだろう。もう一度言おう、いや、やがてあなたがたは知るだろう。」「カッラ ラウ タアラムーナ イルマル ヤクィーン」すなわち、「あなたがたは必ず獄
火を見るだろう(、もしも自らの貪欲を止めず、蓄財を競い、自慢することをやめない限りは)。」「ス(ン)マ ラタラ ウンナハー アイナル ヤクィーン」すなわち、「その時、あなたがたはそれを明確に目で見ることであろう。」「ス(ン)マ ラトゥス アルンナ ヤウマイズィン アニン ナイーム」すなわち、「その日あなたがたは、(現(うつつ)を抜かしていた)享楽(きょうらく)について,必ず問われるであろう。」

金曜日のお祈りのホトバ 「断食 の もたらす 空腹 は 貪欲 さの 治癒 となる」
金曜日のお祈りのホトバ 「断食 の もたらす 空腹 は 貪欲 さの 治癒 となる」

兄弟、姉妹の皆様!
ある日のことです。私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、このスーラ(章)を暗誦なさいました。
そしてその後で、私たち一人ひとりが沈思黙考せねばならない問いを、次のように問いかけました。「アーダムの息子は言う、「私の財産、私の財産」と。だがあなたがたが費やしたもの、食べるもの、使い切ったもの、衣類のように自分が身につけるものなど、あなた方がサダカとして与えたものの他に、いったい本当に、あなた方の所有だと言えるものがあるだろうか?」
兄弟、姉妹の皆様!
強欲、貪欲こそは人類を苦しめる諸悪の根源であります。地上のすべてを支配したいという権力への欲望こそ、今日(こんにち)における流血と受難の理由ではないでしょうか?世界の均衡を見出し、自然を破壊し、環境を汚染し、植物や種子を改変し、人類の未来を危険にさらしているその原因とは、他でもない貪欲さそのものではないでしょうか?
兄弟、姉妹の皆様!
こうした環境の中でも毎年、私たちの心、私たちの住む町に教えをもたらすために、ラマダーンと断食の季節が巡ってきます。これは私たちにとり、貪欲さ、欲望、強欲を取り除くための、またとない機会をもたらしてくれるものであります。ラマダーンと断食は、私たちが自分のものだと思っているものが、実際にはそうではないということ、また物質的なものであれ、精神的なものであれ、授けられた祝福とは、すなわち課された試
練に他ならないのだということを、思い出させてくれます。現世は束の間のまぼろしに過ぎず、来世こそが本物の永遠であることを知らしめてくれます。ラマダーンは、分かち合うことを教えてくれます。断食は、感謝とありがたみを教えてくれます。ラマダーンは、本当の豊かさとは財産の多さではなく、私たちの心が満ち足りることである、と教えてくれます。地上における至福と、来世における救済を得る方法とは、財産を積み上
げることではありません。心を磨き、礼拝を積み重ねることであります。ラマダーンは、私たちにそう告げているのです。
ですから、親愛なる兄弟、姉妹の皆様。貪欲から自らを解放し、足ることを知り、感謝する信仰者となるためにも、共に断食し、崇拝を捧げましょう。私たちの心を、共にラマダーンに明け渡しましょう。