尊敬すべき兄弟、姉妹の皆様!
私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)が、ある日、カアバに近いサファーの丘で、マッカの人々に宛てて次のように語られました。「もしも私が、あの谷に軍勢が待ち構えており、背後からあなた方を襲おうとしている、と言ったなら、あなた方は信じるでしょうか?」。すると人々は、口を揃えてこう応えました。「もちろん、信じます。あなたは信ずるに値(あたい)する人です。正しさと誠実さの手本です。私たちは、あなたが嘘をつくのを聞いたことがありません。」すると、慈悲ぶかき御方の使徒はこう述べられました。「私はあなた方に、痛みをともなう苦難について警告しているのです。」それからマッカの人々を前に、彼はすべての人類に神への信仰へと招いたのであります。彼は人々に対し、信仰の中にやすらぎを見出すように、あらゆる種類の恐れや不安から守られるようにと呼びかけたのでした。
尊敬すべき信仰者の皆様!
聖クルアーンにおいて、全能の主は以下の通り定めておられます。「本当にわれは、諸天と大地と山々に信託を申しつけた。だがそれらは、それを担うことを辞退し、かつそれについて恐れた。人間はそれを担った。」
兄弟、姉妹の皆様!
やすらぎとは、信仰の後に神が私たちに授けたもう最も大いなる恩寵であります。それは信託の祝福です。主は人類に、全宇宙を託したまい、それから私たちに、やすらかな世界を築くよう命じたまいました。主は私たちが、人が人を信頼し、隣人がお互いを信頼し、信じ合って共に働く世界を築いていくことを望んでおられます。今日(こんにち)、私たちが、世界的な規模での信頼の危機に陥って(おちいって)いるのは、悲しむべきことであります。人類は、自らに委ねられている信託を十分に守ることができずにいます。絶え間なく、個人と社会の関わりを揺るがす事件が起きています。人々の、他者との関係、自然との関係は日々、悪化しています。そして一日ごとに、世界はより安全ではなくなりつつあります。
残念ながら、信仰者たちの共同体もまた、これらの冷酷な事件から自らを守れずにいます。歴史的にも「平和と安全の土地」として知られていたイスラムの都市は、今日(こんにち)では略奪にさらされ、倫理も公正さもない暗澹(あんたん)たる無法の戦争に苦しめられています。
親愛なる兄弟、姉妹の皆様!
すべての預言者たちにとり共通の目的とは、人々にタウヒードの信仰を説くことでした。心に、信仰をもたらすことでした。信仰によって心に、意識に、身体に、都市に、そして国々に安全をもたらすことでした。人々に対しては、その生命、その信仰、その家族、財産、そして名誉が守られる社会をもたらすことでした。地上の栄光として遣わされた預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、そのための戦いに、自らの人生を捧げられました。彼は信仰と安全の間に、かたい絆を結ぶことにより、信仰者となり、信頼に値する者となられたのであります。彼は信仰者を「その手と舌に、誰もが安心できる者」である、と定義しておられます。
兄弟、姉妹の皆様!
信頼に値する預言者の共同体として、今日(こんにち)、私たちに課された義務とは、信頼に値する信仰者になることであります。私たちがこれを実現すれば、全能の主による安全と守護とが私たちにもたらされることでしょう。主は私たちを、あらゆる恐怖と心配、不安と悲しみから守りたまうことでしょう。私たちが信頼に値する信仰者になれば、私たちの家庭が、職場が、近隣が、町が、国々が、世界が安全な場所となることでしょう。なぜなら安全な世界とは、頼るべき人々、信頼に値する信仰者の手によってのみ築かれるものだからであります。宗教とは、やすらぎであることを忘れずにいましょう。信仰者とは、信託を委ねられた者のことであります。人道は、私たち人間の手に委ねられているのであります。
尊敬すべき兄弟、姉妹の皆様!
本日のホトバを、以下の祈りをもって終わります。「神よ!過ち、敵意、偽善、裏切り、悪しき性質から、あなたのご加護を求めます。数々の邪(よこしま)な行ないから、私たちをお守りください!」。