東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「利子の社会的損害」

親愛なるムスリムの皆様!
イスラームは、あらゆる種類の利子はハラームであることを明確に断言しています。利子の絡む活動は、最大の罪のひとつとみなされます。全能のアッラー(スブハーナワタアーラー)は、ホトバの冒頭で引用した章句をもって信仰者に次のように警告しておられます。 「信じる者たちよ。あなたがたは、何倍にも、また何倍にもなる利子を貪ってはならない。アッラーを畏れなさい。そうすれば、あなたがたは栄えるだろう」[i]

尊敬すべき信仰者の皆様!
アッラーのすべての命令と禁止は、しもべたちのためになされたものです。すべては現世における平安と来世における幸福のためです。イスラームにおける利子の禁止は、個人と社会の両方の面で多くの知恵があります。

利子は財産だけではなく、人生そのもののバラカを減らしてしまいます。利子は破産を苦にしての多くの自死や家族崩壊、むなしい人生を引き起こします。利子が当たり前のこととされる社会には、共通して低所得者と貧困層が存在します。

親愛なるムスリムの皆様!
利子によって事業を行う人々は、たとえ自分では楽々とたやすく利益をあげられていると思っていても、実際には失っているのです。全能のアッラー(スブハーナワタアーラー)は、このことをクルアーンにおいて次のように告げておられます。 「アッラーは利子をくじくが、慈善には利子をつける。アッラーは恩を忘れる罪深い者を愛さない」。[ii] ザカートとサダカを差し出す人の財産は、バラカを得て増えるのです。彼らは、自分自身の財産から恩恵を得ます。心は平安で満たされ、行為の記録は報奨で満たされます。反対に、利子は財産のバラカを消してしまいます。罪の他には、何の利益も得られません。精神的にも物質的にも、破滅を引き起こします。アッラーの使徒(彼の上に平安あれ)は、利子を受け取る者が最後には利子に滅ぼされることを、次のように言い表しています。 「利子によって増やした富は、何の益ももたらさない」。[iii]

親愛なるムスリムの皆様!
私たちの宗教が発するあらゆる警告にも拘わらず、利子を手放したがらない人々が直面する挫折について、クルアーンは次のように知らせています。 「 [復活の日、]利子をむさぼる者たちは、悪魔に触れられた者のようにしか立つことができない。それは彼らが『取引とは、利子をとるのと同じようなもの』などと言うため」[iv]

ですから、歴史を通して経済における搾取と抑圧の最大の手段のひとつであった利子という災厄を避けましょう。利子によって得た富からは利益を得られないことを理解しましょう。つかの間の現世における生の中で、より多くの富を稼ごうとするのではなく、ハラールな富を稼ぎ、ハラールなやり方で用いるようつとめましょう。審判の日、自分がどのように稼ぎ、またどのように費やしたかを申し開きしない限り、アッラー(スブハーナワタアーラー)の御前を離れることはできないことを常に忘れないようにしましょう。本日のホトバを、いと高いアッラー(スブハーナワタアーラー)の次の警告をもって終わります。「信じる者たちよ。あなたがたはアッラーを畏れなさい。残っている利子を放棄しなさい、もしあなたがたが信仰者なら。もしそうしないなら、アッラーとその使徒からの戦いがあるものと心せよ。しかしもしあなたがたが悔い改めるなら、あなたがたの原資は手元に残される。それであなたがたが不正をなすことも、不正をなされることもない」。[v]

[i] Al ‘Imran, 3/130.
[ii] Baqarah, 2/276.
[iii] Ibn Majah, Trade, 58.
[iv] Baqarah, 2/275.
[v] Baqarah, 2/278-279.


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とうきょうジャーミイ きんようれいはいのホトバ (ひらがな と カタカナ PDF)