東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「主(スブハーナ ワ タアーラー)へのヒジュラ」

尊敬すべきムスリムの皆様!
アッラーの使徒(彼の上に祝福と平安あれ)は、主(スブハーナ ワ タアーラー)に命じられた通り、アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)のみを信じ、仕えるよう人々に呼びかけました。しかし、偶像を崇拝するマッカの住人たちはアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)に対する従属の意識や道徳的な価値観を欠いており、呼びかけには応じませんでした。彼らは信仰者に対しあらゆる抑圧や迫害、拷問を課したことに何ら良心の呵責を感じていませんでした。彼らは、世界への慈悲として遣わされた最愛の預言者(彼の上に祝福と平安あれ)の命を狙おうとさえしたのです。これ以上、信仰者たちがイスラームの宗教実践を行うことは不可能でした。その結果、教友たちと預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は信心深い人々の町ヤスリブに移住したのでした。ヒジュラののち、ヤスリブはマディーナ・アル=ムナッワラになりました。

親愛なるムスリムの皆様!
あるハディースにおいて、私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)はوَالْمُهَاجِرُ مَنْ هَجَرَ مَا نَهَى اللَّهُ عَنْهُ すなわち、次のように語っています。「真のムハージル(移住者)とは、アッラーが禁じた行為から立ち去る者のことである」[i]

まさしく、ヒジュラとはある場所から別の場所への物理的な移動をのみ指すのではありません。困難や災難から、心地よく安楽な方へと逃げ出すことでは決してないのです。ヒジュラとは、信仰と理想のために新たな地平線を目指す意欲的な旅のことです。アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)への信仰、誠実さと服従、そして忍耐と我慢強さの表れです。友情と同胞愛、互いを助け合う連帯の物語でもあります。

親愛なる信仰者の皆様!
先週の土曜から、イスラーム暦の新年が始まりました。ヒジュラが行われた年は、ヒジュラ暦元年にあたります。昨年について、過ぎ去った私たちの人生の一部について振り返ってみましょう。アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)との契約と、アッラーの使徒(彼の上に祝福と平安あれ)との約束をもう一度確認しましょう。この日をもって、罪とハラームからハラールと純粋な人生へのヒジュラを始めましょう。

この場をかりて新年のお祝いを申し上げます。ヒジュラ暦1444年がムスリム世界に反映をもたらしますように。

本日のホトバを、全能の主(スブハーナ ワ タアーラー)からの吉報をもって終わります。「信じ、移り住み、自分の財も自分自身もアッラーの道に投じて励む者たちには、アッラーの御許に大いなる位階がある。これらの者こそ勝者」[ii]

[i] Bukhari, Iman, 4.
[ii] Tawbah, 9/20.


東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「主(スブハーナ ワ タアーラー)へのヒジュラ」.(PDF)

とうきょうジャーミイ きんようれいはいのホトバ (ひらがな と カタカナ PDF)