東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「慈悲の社会」

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「慈悲の社会」

尊敬すべきムスリムの皆様!
全能のアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)が私たちに授けてくださった祝福のうち、もっともすばらしいもののひとつに、慈悲の心があります。慈悲とは、私たちの主(スブハーナ ワ タアーラー)のお名前である「アル=ラフマーン」の表れです。慈悲とは、やさしい心とやわらかな魂のことです。思いやりと良心を持つことです。

世界への慈悲として遣わされた私たちの預言者の、もっとも大切な特徴とは、その慈悲と思いやりです。1 この点については、私たちの預言者のふるまい方が、貴いクルアーンにおいて次のように説き明かされています。「あなた[ムハンマド]が彼らにおだやかでいられたのは、アッラーの慈悲によるもの。もしあなたが手厳しく、冷酷な心であったなら、彼らは必ずやあなたの周りから散り散りになっていただろう。……」2

親愛なる信仰者の皆様!
アッラーの使徒は、伴侶に対しては優しさと思いやりを持ち、互いに慈悲を示すよう命じ、「あなたがたの中でもっとも良い人とは、家族にとってもっとも良い人のことである」3 と語っています。彼は年長者を敬うようすすめています。「その年齢ゆえに年長者のことを敬う人には、その年齢に達したとき、尊敬される地位をアッラーが用意してくださる」4 という吉報の通り、年長者はドゥアーと祝福に浴する機会を与えてくれる存在です。

他のすべての生きものと同じように、アッラーの使徒の慈悲と思いやりは動物にも分け与えられています。彼は、「すべての生きものに対する、あらゆる善行に報酬がある」5 と語っています。慈悲の使徒が人類に知らせた原則に基づいて発展したイスラーム文明においては、動物は慈悲と思いやりをもって扱われます。

親愛なる信仰者の皆様!
暴力や怒り、敵意や憎しみが心をむしばむ現代において、私たちには慈悲の文明の一員として今いちど慈悲の預言者のメッセージを受け入れることが課されています。私たちは、「私は、ただ慈悲として遣わされた」6 と語ったアッラーの使徒の、知識と知恵の学び舎で心を鍛えなおさなくてはなりません。

本日のホトバを、預言者の次のハディースをもって終わります。「慈悲深い人には、アル=ラフマーンの慈悲が示される。地上にあるものに慈悲深くありなさい。そうすれば、天上にあるお方が慈悲深くしてくださるだろう」。7

[1] Tawbah, 9/128.
[2] Ali ‘Imran, 3/159.
[3] Tirmidhi, Manaqib, 63.
[4] Tirmidhi, Birr, 75.
[5] Bukhari, Musaqat, 9.
[6] Muslim, Birr, 24.
[7] Abu Dawud, Adab, 58.


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とうきょうジャーミイ きんようれいはいのホトバ(ひらがなとかたかな PDF)