東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「真理に立ち、虚偽に立ち向かうこと」

Friday Khutba

兄弟、姉妹の皆様にとり祝福された金曜日でありますように! 私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、ヒジュラ(移住)を余儀(よぎ)なくされて十年ののち、ご自分の 軍勢と共にマッカに凱旋(がいせん)なさいました。アッラーのみ使いは、この祝福された町に生まれ育ち、この町を慕(した)っておられました。彼は憧(あこが)れのまなざしでこの町を一望(いちぼう)し、それから情 熱と興奮をもってアッラーの館へ向かいました。タワーフを行ったあとで、次のアーヤを朗唱なさいました。「(今や)真理は下り、虚偽は消え去った。本当に、虚偽は消えるさだめにある。」それから彼はカアバに入って清め、周 囲にあった偶像を取り除いたのであります。

尊敬すべき信仰者の皆様!人類の歴史における真 理と虚偽の闘いは、アーダムの二人の息子ハビールとカビールに始まりました。ハビールは服従と誠実さによって真 理の側に立ちましたが、ガビールは自らの欲望と嫉妬ゆえに、虚偽を選びました。終末の日にいたるまで、ハビールは善なるもの、徳高きものの指導者となるでしょう。一方でカビールは、自らの犯した殺人ゆえに、邪悪なるものの 象徴として知られることとなるでしょう。

親愛なる兄弟、姉妹の皆様! 真理とは、タウヒードの信仰にあります。アッラーへの信仰、アッラーへの服従にあります。主のみのしもべたるこ とにあります。虚偽とは、アッラーの存在とその唯一性を否定し、主に比肩(ひけん)する何ものかを配(はい)することであります。主以外の何ものかに仕(つか)えることであります。それは、欲望と欲求のしもべになることであります。それは主の、無数の祝福に目を閉ざし、耳を塞(ふさ)ぐことであります。

真理とは、私たちを人間らしくさせ、世界を生きるにふさわしい場所とする、イスラームという明白な宗教の原則と 美しさに与えられた命そのものであります。虚偽は、私たちの崇高な宗教とは両立しえない信念であり、概念であります。それはイスラームとは相反(あいはん)する行いであり、人々の名誉と尊厳を害する悪であります。

真理の道とは、預言者たち、殉教者たち、そして善良な、誠実な信仰者たちの道であります。この道の終わりに、永 遠に祝福された楽園が広がっています。虚偽の道とは不信仰者の道であり、非難されるべき道であり、正義から逸脱 した悪しき者の道であります。その道の終わりは破滅と喪失の巣窟(そうくつ)たる地獄へとつながっています。

兄弟、姉妹の皆様! 真理の道にとどまる者は、抑圧され、虐(しいた)げられた人々の希望となります。虚偽と結託(けったく)する者は、往往(おうおう)にして弾圧と抑圧者の代弁者(だいべんしゃ)となります。自らの心を真 理に据(す)えた者は、高い価値のために戦います。虚偽を担(にな)う者は、自分の利益や自己愛を何よりも優先させるのです。真理を愛する者が、地上を生きるにふさわしい場所にしようと建設的に働く間も、虚偽のしも べとなった者は扇動や悪意、嘘いつわり、中傷、害毒を求めています。真理によって立つ者が、地上に平和と安定、正義をもたらそうと努力する間も、虚偽に従う者は血と涙を流させ、町という町を破壊し、人々の意識や心を傷つけているのです。

ですから、兄弟、姉妹の皆様! どのような状況にあっても真理の側に立ち、虚偽に立ち向かい、真理の声を上げ続けましょう。あきらめることな く、お互いに真理と忍耐を勧め合いましょう。真理に仕え続けるかぎり、アッラーのご加護と慈悲が私たちと共にあ るということを、忘れずにいましょう。私たちが真理を選び取り、真理を掲げ続ける限り、私たちが虚偽によって傷 つけられることは決して起こり得ないでしょう。


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