東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「自然災害に対する意識を高めること」

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尊敬すべきムスリムの皆様!
宇宙は「スンナトゥル・アッラー」と呼ばれる聖なる法と規則に従って営まれています。全能のアッラーは、その威光と知識をもってそれらの法を定めたまいました。大地、空気、水、火には、それぞれに固有の性質やバランスがあります。人間はそうした性質やバランスを保つようなやり方で生きてゆく必要があります。
地震もまた聖なる法に従って起こります。人間には地震をふせぐことも、起こるタイミングやその規模を変えることもできません。しかし害が及ぶことのないよう、さまざまな対策を講じることはできます。必要な対策を講じることによってのみ、地震や洪水、火災といった自然災害による人命や資材の損失を最小限に抑えることができるのです。

親愛なるムスリムの皆様!
全能のアッラーは、聖クルアーンにおいて次のように告げておられます。われらはきっとあなたがたを、いくらかの恐れと飢え、またいくらかの財産、生命、果実[の収穫]の喪失をもって試すだろう。しかしよく耐える者には、良い報せを伝えなさい、……[i]ムスリムたちは、試練の場であるこの現世においては、生きていく上でさまざまな困難に直面するだろうことを承知しています。自分の限界や能力についてわきまえており、自分がアッラーのしもべとして、アッラーを必要としていることもわかっています。困難を耐え抜くために、できることなら何でも実現できるよう、あらゆる努力をします。心と知識、経験を用いて必要な予防策を講じます。その後で、信仰の求めに応じてアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)に従いその身を委ねます。そうしてそれまでよりも力強くなり、襲いかかる困難を耐え抜くのです。こうして祝福には感謝を、困難には忍耐を示すことにより、ムスリムは試練を乗り越えるのです。預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)は、こうしたムスリムの在り方について次のように語っています。「信仰者であるとは何とすばらしいことだろうか。あらゆるすばらしいものがあり、しかもそれは信仰者だけにあてはまるものばかりである。繁栄がもたらされればアッラーに感謝する。その者にとり、それは良いことである。逆境に立たされれば辛抱づよく耐えしのぶ。そしてその者にとり、それは良いことである」。[ii]

親愛なる信仰者の皆様!
ムスリムにふさわしいのは、自然災害について対策するという責任感を持つことです。アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)が定めたことは必ず起こります。私たちのなすべきことは、必要な対策を講じて主に委ねることです。この点について預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)は、困難においてムスリムが持つべき心構えを、次のように説明しています。「怠慢や怠惰はアッラーに嫌われる。合理的にふるまわなくてはならない。しかしあなたがたに何ひとつなすすべのないときは、

『私にはアッラーがおられれば充分である、すべての物事を万全に取りしきる御方』と言いなさい」。[iii]
安全かつ安心な暮らしを送るためにも、私たち一人ひとりが自然災害に備えておくようにしましょう。私たちが暮らしている地域の自然や現実のバランスに即した、正しく適切な行動をするようにしましょう。自分の家族と、災害や緊急時について話し合っておくようにしましょう。

[i] Baqarah, 2/155.
[ii] Muslim, Zuhd, 64.
[iii] Abu Dawud, Aqdiyya, 28.


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