東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「ムスリムの持つべき感覚について:「善を勧め、悪を禁じる」

尊敬すべきムスリムの皆様!
宇宙の創造の本質と世界に存在するものの関わりの根底にあるのは、善と慈悲であります。私たちの大切な宗教であるイスラムは、地上から悪が一掃され、善が広まることを確証するために下されました。
ムスリムには、善人であること、真にアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)のしもべであること、一個人として高潔であることが求められます。しかし同時に、ひとりの人間としての自らの善意と、悪に立ち向かおうという生まれついての自らの意志を、社会に反映させるという責任も負っています。そうした責任を、「アムル・ビ・アル・マアルーフ・ワ・ナフイ・アン・アルームンカル」と呼びます。それは「善を勧め、悪を禁じる」ことを意味します。

信仰あつく、良心にすぐれ、分別のあるムスリムが集まるウンマについて、全能のアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)はクルアーンを通して次のように説いておられます。あなたがたは、もっとも良い共同体として人々の中に立ち現れた。あなたがたは親切を勧め、非道を禁じ、アッラーを信じる。  [1]

親愛なるムスリムの皆様!
預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)は、次のように語りました。「悪事を目にした者は、それを手によって直しなさい。それができないなら、舌によって直しなさい。それができないなら、せめて心の中で直しなさい、それが最低限の信仰の表われである」。[2]

ですから、私たちの知識や経験、手段や能力の許す限り、常に善を勧め、悪を禁じるようつとめましょう。そうすることが私たち一人ひとりの宗教的な義務であると同時に、人間としての義務であるということを忘れないようにしましょう。善を勧め、悪を禁じるためのすべての歩みに、必ず価値があるということを心から信じましょう。

尊敬すべきムスリムの皆様!
金曜のフトバをしめくくるにあたり、重要なことをお伝えしておきたいと思います。私たち自身の、私たちの愛する人々の、そして社会全体の健康のために、感染症の流行防止対策を怠ることのないようにしましょう。感染症の流行を軽視することなく、十分に注意するようにしましょう。マスクを着用し、社会的な距離を保ち、衛生的に過ごすための様々な決まりごとをしっかりと守りましょう。私たちの健康と安全のために、自分のことは後回しにして無心で働いてくれている兄弟、姉妹の仕事を、これ以上難しくすることのないようにしましょう。このような重大な事態において、やるべきことを怠ったり、仕損じたりすることは、他の人々に対しても、全能のアッラーに対しても責任を果たさずにいるということになってしまいます。そのことを決して忘れないようにしましょう。

[1] Al-i ‘Imran, 3/110.
[2] Muslim, Iman, 78.


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