وَلَا تَسْتَوِي الْحَسَنَةُ وَلَا السَّيِّئَةُ ادْفَعْ بِالَّتِي هِيَ أَحْسَنُ فَإِذَا الَّذِي بَيْنَكَ وَبَيْنَهُ عَدَاوَةٌ كَأَنَّهُ وَلِيٌّ حَمِيمٌ ﴿٣٤﴾صدق الله العظيم

兄弟、姉妹の皆様!

以下の章句において、神は命じておられます。「善と悪とは同じではない。(人が悪をしかけても)いっそう の善行で悪を追い払え。そうすれば、互いの間に敵意ある者でも、親しい友のようになる」。またハディース においては、私たちの師ムハンマド(彼に平安あれ)はこのように警告なさっています。「あなたがたは、受 動的な者であってはなりません。『他人が良くしてくれたら自分も良くしてやろう。悪くされたら、悪く仕返 してやろう』などと言う者であってはなりません。それよりも、自分の心は自分自身で決めるようにしなさ い。他人が善良ならば、あなたがたも善良でありなさい。もしも邪悪ならばその時は、あなたがたは不公正に ふるまうべきではない」。

兄弟、姉妹の皆様!

優しさとは、自分が関心を持っていることにのみ働かせるものではありません。そしてまた、財政的な支援を 行なうといった狭い領域にのみ限られるものでもありません。善良さには、数えきれないほどの方法がありま す。言葉や態度、ふるまいの一つひとつが、私たちを現世においても来世においても愛される者とし、私たち に幸福をもたらし、またそれが善行として神に認められるといった祝福をもたらしもするのです。 優しさとは、孤独な人には友情を、疲れている人には休息を、居場所を失った人には避難所を、暮らしに困っ ている人には助けの手を差し伸べるということです。それは世界を、生きるにふさわしい場所にしてゆくとい うことです。親を失って衣食にも事を欠いている、私たちのウンマ(共同体)の子どもたちの頭を、優しく撫 でてやれるようになるということです。虐げられた人々が幸福になれるよう、難民となってイスラーム世界か ら移住していった人々に対して、あたかもアンサール(メディナの市民たち/援助者たち)のようであるとい うことです。優しさとは、困っている人や行き詰まっている人に対して手助けを与えることであり、見捨てられた人 に対して力を貸すことであり、頼る者もいない人の頼り手になるということを意味するのです。時にそれは、 兄弟、姉妹にほほえむことを意味します。また時にそれは、試練の時には共に祈りを捧げることをも意味しま す。どうか覚えておいて下さい。一人ひとりが兄弟、姉妹のことを気にかければかけるほど、虐げられている 人々や孤児たち、見捨てられた人々の災難を思いやれば思いやるほど、それはその人自身にも更なる善をもた らすことになるのです。

尊敬すべき兄弟、姉妹の皆様!

残念ながら私たちも全人類も、毎日、日に日に悪に囲まれつつあると言わざるを得ません。慈しみとは何であ るか、その理解すらも損なわれつつあります。この世界において、ある所では飢えや貧困といった最低限の必 要を満たし、危機を乗り越えるために戦っています。その一方、別の所においては欲望のおもむくまま、無責 任で無制限な消費がなされ続けています。野心、貪欲、欲望、気まぐれ、単なる思いつきのせいで、人類は公 正さや良心、優しさを失いつつあります。

Friday Prayer - Jumuah Khutba 「Those Who Forgot Allah Will Be Forgotten」
Friday Prayer – Jumuah Khutba 「Goodness Changes The World」

兄弟、姉妹の皆様!

現在、人類は、悪をもって悪を破壊し、暴力をもって暴力を取り除こうとしています。悪に対し悪をもって応 酬すれば、生じるのは更なる悪のみであることは無視されてしまうのです。しかしながら私たちの全能の主 は、全ての人類に対するすばらしい道を示しておられます。主は私たちに、善を勝たせることにより、地上か ら悪を追い払うよう命じておられます。私たちが善を勝たせるとき、悪はおのずと滅びるだろうと告げておら れます。主は私たちが、憎しみや怒り、敵意を私たちの心から追い払い、悪の奴隷になるのを避け、私たちの 魂を優しさと思いやり、慈しみ、愛情といった美徳によって飾ることを望んでおられるのです。

兄弟、姉妹の皆様!

さあ、始めましょう!お互いの心と心に、優しさと慈しみの橋を架けましょう。家庭に始まり、祖国 へ、そして世界へと、優しさの波を広げてゆきましょう。優しさは世界を変えるのだということを、忘れずに いましょう。私たちの寛大なる聖典が教えてくれている、以下の祈りをもって本日のフトバを終わります。 「主よ、現世でわたしたちに幸いをたまい、また来世でも幸いをたまえ。業火の懲罰から、わたしたちを守っ てください。」

[i] Fussilat, 41/34.

[ii] Tirmidhi, Birr, 63.

[iii] Al-Baqarah, 2/201.