東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「信仰者の人生に絶望の余地はないことについて」
親愛なるムスリムの皆様!
希望は、全能の主(swt)が私たちの性質に植え付けた感情のひとつです。希望とは、全能のアッラー(swt)に完全に身を委ね、その助けと支えに全幅の信頼を置くことです。それは、慎重さとアッラー(swt)への信頼、忍耐と努力、過去を振り返りつつ未来に向かって決意をもって進んでいくことのバランスを意味しています。希望は神の慈悲であり、人が命をつなぎとめ、決意を固め、努力を後押しするのを可能にします。それは、肉体と精神の健康を守る、目には見えない力となってくれます。
親愛なる信仰者の皆様!
全能のアッラー(swt)が人類に遣わしたすべての預言者たちは、もっとも厳しい試練に直面しても希望を失わずにいました。実際に、預言者アーダム(as)は、希望をもってアッラーに赦しを求めました。預言者ヌーフ(as)は、息子が導きに従うだろうという希望をもって、親切な優しい言葉で息子に「息子よ、私たちと共に乗りなさい。[真理を]拒む者と共にいてはならない」1 と助言しました。預言者アイユーブ(as)は、重い病を抱えながら、癒えるだろうという信念を決して失うことなく、あらゆる治療を模索しました。その一方で、アッラーの使徒(saw)は、苦難に直面しても決して絶望することなく、次のように語り、主の加護を求めました。
حَسْبِيَ اللّٰهُۘ لَٓا اِلٰهَ اِلَّا هُوَۜ عَلَيْهِ تَوَكَّلْتُ وَهُوَ رَبُّ الْعَرْشِ الْعَظ۪يمِ 「……「私には、アッラーがおわせば十分。その他に、いかなる神もない。私はこの御方に委ねている、大いなる玉座の主たる御方に」。」2
親愛なるムスリムの皆様!
私たちもまた、時には困難に見舞われるかもしれません。家族、仕事、商売、それに隣人や親せきとの関係において、困難に直面することもあるかもしれません。しかし、どれほど大きな問題であろうと、私たちの主(swt)の慈悲と思いやりはすべてを包み込んでくれます。私たちに必要なのは、主(swt)、自分自身、家族、コミュニティ、そしてすべての人人に対する責任を果たすことだけです。私たちに必要なのは、正しい行いと善良な性格をもって人生の飾りとすることだけです。
尊敬すべき信仰者の皆様!
今、世界を戦場に変えようとしている抑圧者は、あらゆる悪の限りを尽くして人類の希望を打ち砕いています。世界の多くの地域、特にパレスチナ、ガザにおいては、大規模な残虐行為が行われ、老若男女の別なく虐殺されています。最低限の医療や食糧さえも阻み、世界の眼前で人びとを死に至らしめています。一方で、理性と自然、道徳と貞節を損ねる歪んだ思想を広めることで、家族と人類の未来を脅かしているのです。飲酒、賭け事、売買春、薬物や有害なメディアコンテンツを通じて若者の夢に影を落とし、希望を奪おうとしています。しかし、神の命令はあらゆる企てを超越します。اللّٰهُۜ وَاللّٰهُ خَيْرُ الْمَاكِر۪ينَ۟ 「彼らは策略をめぐらせた。しかしアッラーも策略をめぐらせた。アッラーは、策略者のうちもっともすぐれている。」3
親愛なるムスリムの皆様!
悪が広まろうとし、希望や理想、そして善良さえの夢が攻撃されているとき、私たちに課された義務とは、人生に絶望が根を張らないようにすることです。できる限りの手を尽くし、それから全能の主(swt)の御恵みと慈悲に逃れることです。子どもたちや若者たちが書往来の夢と理想を実現できるよう、可能な限り支えてやることです。
本日の金曜礼拝のホトバを、預言者(saw)の次の祈りをもって終わります。「……アッラーよ! 私はあなたに自分自身と、自分のことを委ねます。あなたへの希望と畏れをもって、あなたの加護を求めます。……」4
[1] Hud, 11/42.
[2] Tawbah, 9/129.
[3] Ali ‘Imran 3/54.
[4] Bukhari, Wudu’, 75.
Prayer | Time |
---|---|
Fajr | 05:21 |
Sunrise | 06:51 |
Dhuhr | 11:48 |
Asr | 15:07 |
Maghrib | 16:46 |
Isha | 18:11 |