東京ジャーミイ　金曜礼拝のホトバ 「スーラ・アル＝フジュラート：徳の高い社会を築くために」

尊敬すべきムスリムの皆様！
人間と創造主、人間と他者、人間と環境との関わり方を規定し、その基本的な原則を知らせるスーラのひとつに、スーラ・アル＝フジュラートがあります。
スーラ・アル＝フジュラートにおける私たちの全能の主の最初のメッセージは次のとおりです。يَٓا اَيُّهَا الَّذ۪ينَ اٰمَنُوا لَا تُقَدِّمُوا بَيْنَ يَدَيِ اللّٰهِ وَرَسُولِهِ 「信じる者たちよ。何ごとにおいても、アッラーとその使徒よりも[あなたがたの都合を]先んじてはならない。……」ⁱ このように行動することが、何よりもアッラーとその使徒を愛することを意味します。それは、何よりもアッラーのお喜びと、預言者(saw)の愛を優先することです。いつでも、どこにいようとも、クルアーンとスンナに忠実であり続けることです。
スーラ・アル＝フジュラートのもうひとつのメッセージは、次の命令にあります。
اِنْ جَٓاءَكُمْ فَاسِقٌ بِنَبَأٍ۬ فَتَبَيَّنُٓوا يَٓا اَيُّهَا الَّذ۪ينَ اٰمَنُوا 「信じる者たちよ。もし背く者があなたがたに[何かしらの]報せをもって来たなら、よく確かめるようにしなさい。……」ⁱⁱ この章句は、私たちに対し、偽りの知らせや誤解を招く情報に注意するよう呼びかけています。現実の世界であろうと、デジタルメディア上であろうと、偽のニュースを広めたり、未確認の情報を共有したりすることは、人びとの間に不和や混乱を招き、社会における平和と信頼の空気を乱すことになります。多くの人びとを実生活から切り離し、多くの家庭を崩壊させ、数々の友情を壊す原因となるのです。正確性に確信が持てない情報やニュースを共有することは大罪であり、重大な責任が問われることを決して忘れてはなりません。
尊敬すべきムスリムの皆様！
スーラ・アル＝フジュラートに示されたもうひとつのメッセージが、次の命令です。
لَا يَسْخَرْ قَوْمٌ مِنْ قَوْمٍ يَٓا اَيُّهَا الَّذ۪ينَ اٰمَنُوا 「信じる者たちよ。あなたがたは、どの民にも他の民を嘲笑させてはならない。……」　وَلَا تَلْمِزُٓوا اَنْفُسَكُمْ وَلَا تَنَابَزُوا بِالْاَلْقَابِۜ 「……あなたがた自身も中傷してはならない。互いをあだ名で呼ばわってはならない。……」ⁱⁱⁱ イスラームにおいては、人間とは尊敬と敬意を払うべきであり、真剣であろうと冗談であろうと、行動や言葉、あるいは手振りや舌、眉や目の動きなどで嘲笑していい存在ではありません。誰かの体面を侮辱したり、名誉や尊厳を傷つけるような呼び名で呼んだりしてはなりません。こうした悪のすべての根源は、アッラーが決してお認めにならない尊大さと傲慢さであり、それは過剰なうぬぼれと他者に対する軽視にあたります。
スーラ・アル＝フジュラートには、もうひとつの警告があります。「信じる者たちよ。あなたがたは、できる限り憶測を避けなさい。本当に憶測することは、場合によっては罪となる。互いに相手のことを探り合ったり、陰口をしたりしてはならない。……」^iv 信仰者とは、その手と舌がもたらす危害について、他の人びとが心配する必要がない者のことです。信仰者は常に他者に対する善意を持ち、他者の欠点ではなく、自らの欠点に焦点を当てます。信仰者は、陰口や無駄話、うわさ話をまき散らすようなことには加わりません。
全能の主が、人生においてスーラ・アル＝フジュラートに記された真理を実践し、私たちの心と意識、そして言葉を堕落させるあらゆる悪を遠ざけ、平和な共存を保つ力を私たちに与えてくださいますように。
本日の金曜礼拝のホトバを、預言者(saw)の次の祈りをもって終わります。「アッラーよ！　私の耳の悪、目の悪、舌の悪、そして心の悪に対し、あなたの加護を求めます。……」^v

[i] Hujurat, 49/1.
[ii] Hujurat, 49/6.
[iii] Hujurat, 49/11.
[iv] Hujurat, 49/12.
[v] Tirmidhi, Da‘awat, 74.

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とうきょうジャーミイ きんようれいはい の ホトバ 「スーラ・アル＝フジュラート：とく の たかい しゃかい を きずく ために」PDF