東京ジャーミイ　金曜礼拝のホトバ 「巡礼：人をよみがえらせ、社会を築き上げる崇拝」

親愛なるムスリムの皆様！
今日はズー・アル＝ヒッジャ月10日、すなわちイード・アル＝アドハーの初日にあたります。昨日はアラファの日でした。すべての巡礼者がワクファのためにアラファトに集まり、アッラーに祈りを捧げました。全能の主(swt)が、すべての巡礼者にハッジ・マブルール（アッラーに受け入れられる巡礼）をもたらし、彼らの祈りを聞き届けてくださいますように。

親愛なる信仰者の皆様！
ハッジは、多くの聖なる知恵と祝福が込められた崇拝行為です。ハッジは人をよみがえらせ、社会を築き上げるものです。ハッジはイスラームにおける五行のひとつであり、世界じゅうからムスリムが集まる同胞愛のつどいです。ハッジ―はキヤーム（起立）であり、復活です。全能のアッラーは、この真理を次のように表しておられます。「アッラーは、人々の拠って立つべきところとして禁制の家カアバを定めた。……」ⁱ

親愛なるムスリムの皆様！
私たちの愛する預言者(saw)がもたらした「ハッジ・マブルールへの報奨は楽園に他ならない」ⁱⁱ という吉報を成就しようと努める信仰者は、まずイフラームの状態に入るところから始めます。イフラームとは、あらゆる罪と禁止事項から遠ざかり、篤信の衣を身にまとうことです。イフラームは、世俗的な欲望や野心、地位や名声、名誉などから身を清めるよう私たちを促します。
イフラームを身にまとった信仰者は、ハッジのファルド（義務）を果たすためにアラファトに登ります。アラファトは、人間と社会を堕落させる悪が打ち負かされる場所であり、そこでは、平和と調和を確かなものとする人道的で良心的な価値観が世界に向けて宣言されます。アラファトは、死と復活、そして審判の日について熟考することを意味するのです。

親愛なる信仰者の皆様！
ハッジにおけるもうひとつのファルドが、タワーフ・アル＝ズィヤーラです。タワーフは私たちの心に、アッラー(swt)が定めた基準に従って人生を作り上げていくという意識を刻み込みます。信仰者たちは、肌の色や言語、人種が異なっていても、目的と理想においてひとつであり、建物のレンガのように、お互いを支え合うべきであることを示しています。
タワーフの後、信仰者たちはサーイを行います。サーイとは追求であり、尽力のことです。サーイは、イスマーイールの母ハージャルが、彼の渇きをいやすために奔走したという努力にならい、子どもたち、若者たちの平安と幸福のために尽力することを私たちに思い起こさせてくれます。現代において、子どもたちが置かれている危機的な状況は、預言者イスマーイールが幼少期に味わった渇きに勝るとも劣らないものです。私たちの子どもたちや若者たちが、アッラー、来世への意識、預言者たち、啓典、信仰、そして道徳を奪われてしまったなら、預言者イスマーイールが経験したであろう以上の困難に直面することになるでしょう。
祈りが聞き届けられるこの祝福された日々に、全能のアッラーに祈りを捧げます。イード・アル＝アドハーがイスラーム世界と全人類に善をもたらしますように。世界じゅうで抑圧に苦しむ人びと、特にガザの兄弟姉妹の平和と救済を祈ります。

[i] Ma’idah, 5/97.
[ii] Bukhari, ‘Umrah, 1.

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とうきょう ジャーミイ きんようれいはい の ホトバ 「じゅんれい：ひと を よみがえらせ、しゃかい を きずきあげる すうはい」PDF