東京ジャーミイ金曜礼拝のホトバ「家族：信頼と忠誠、慈悲の住みか」

尊敬すべきムスリムの皆様！
全能の主が私たちに授けてくださった、最大の祝福のひとつに、家族があります。家族は、慈愛と慈悲の安息の場です。「あなたがたのために、あなたがた自身の中からその伴侶を創造し、憩いを得るようにし、あなたがたのあいだに親愛と慈悲をあらしめたことも御しるしのひとつ。本当にその中には、省みる民への御しるしがある」¹と、章句にもあるとおり、家族は本当にかけがえのない、決して取り替えることのできない唯一の集団です。

親愛なる信仰者の皆様！
全能の主は、 وَاللّٰهُ جَعَلَ لَكُمْ مِنْ بُيُوتِكُمْ سَكَنًا 「あなたがたの家を憩いの場所とし……」² と述べられ、家族が幸福の源であると告げておられます。母親と父親は、共に平和な家庭環境を築き、維持する上で重要な役割を担います。子どもは、母親の優しさと慈悲を必要とするのと同じくらい、父親の権威としつけを必要とします。したがって、子どもを教え、導き、立派な人間に育てる責任は、養育者や学校、テレビやタブレット、コンピューターだけに委ねられるべきではありません。親の愛情や慈悲を得られない子どもは、安心感や慈愛、愛着を他の場所で求めるようになり、それはしばしば、子どもの本来の性質を歪めてしまうことにつながるのです。

親愛なる信仰者の皆様！
預言者ムハンマド(saw)は、あるハディースの中でこう語っています。「……誰であれ、あなたがたの中で結婚できる者は結婚すべきである。なぜなら、それは視線を低くし、慎みを守る助けになるからである。……」³ 確かに、結婚は人間の性質にとり根本的な必然です。それはこの世における平安と幸福をもたらし、来世における永遠の至福へと導く聖なる出発点です。結婚は、尊厳と敬意を保ち、悪と罪から守ってくれる安全な港です。それは私たちの魂と未来の世代を守り、清らかで健全な社会を築くためのもっとも確かな方法です。
親愛なるムスリムの皆様！
愛する預言者ムハンマドのハディース、 「あなたがたの中で最善の者とは、家族にとって最善の者である。……」⁴ を私たちの指針としましょう。家族の中で愛情と優しさ、そして品格を育みましょう。家族という形を脅かし、私たちの未来に影を落とす有害な傾向に用心しましょう。家族の幸福、絆、連帯、そして同胞愛を阻むものすべてを取り除くために、手を携え、心をひとつにしましょう。家族を守り、強めるのは、両親だけの責任ではないことを忘れてはなりません。あらゆる機関や組織を含め、この点において責任を負うすべての人は、自らの義務を適切に果たすために、熱心な努力を払わなくてはなりません。
最後に、愛する預言者の次の警告を引用します。كَفَى بِالْمَرْءِ إِثْمًا أَنْ يُضَيِّعَ مَنْ يَقُوتُ 「養う者をないがしろにすることは、それだけで十分な罪である。」⁵

[1] Rum, 30/21.
[2] Nahl, 16/80.
[3] Bukhari, Nikah, 3.
[4] Tirmidhi, Manaqib, 63.
[5] Abu Dawud, Zakat, 45.

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