東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「財団(ワクフ): 創造主への畏敬、被造物への慈悲」
尊敬すべきムスリムの皆様!
預言者ムハンマド(saw)と、その尊敬すべき教友たちがマディーナに移住してしばらく経ったのちのことです。町は水不足に見舞われました。ルマーの井戸は、あるユダヤ教徒の所有物でした。彼はその水を一滴にいたるまで金銭と引き換えに売っていました。すると、アッラーの使徒(saw)はこう述べました。「ムスリムたちの桶の隣に自らの桶を並べ、より良い楽園(の報奨)と引き換えに、ルマーの井戸を買い取る者はいないか?」 この吉報を聞いたウスマーン(ra)は井戸を買い取り、困窮するすべての人びとのために寄付しました。1
親愛なる信仰者の皆様!
財団(ワクフ)とは、相互扶助と連帯を制度化した構造のことです。それは、私たちが持つ資源をすべての被造物の利益のために捧げ、預言者の教えであるخَيْرُ النَّاسِ أَنْفَعُهُمْ لِلنَّاسِ 「もっとも善い人とは、他者にとりもっとも助けとなる人である」2 を体現することを意味します。アッラーの道において、私たちの目に憧れとして映るもの、心が大切にしているもの、そして手放すことがためらわれるものを、何の見返りも求めずに捧げることです。 ワクフは、全能のアッラーから私たちに託された富を永続させ、来世への備えに変えてくれます。それは、余っているものではなく、私たちにとり真に価値あるものを寄付することによって、لَنْ تَنَالُوا الْبِرَّ حَتّٰى تُنْفِقُوا مِمَّا تُحِبُّونَۜ 「自分の大切にしているものを[主の道のために]費やすようにならない限り、あなたがたは徳をなしたことにならない。……」3 という神の戒めに応じることです。それは親を失った子どもに喜びを、困窮する人には住まいを、抑圧されている人には希望を、病気を患う人には慰めをもたらすことなのです。
尊敬すべきムスリムの皆様!
イスラーム文明はまた、ワクフの文明であり、そしてムスリムは、この文明に生命を与える者です。預言者ムハンマド(saw)はハディースの中でこう語っています。「人の富とは、生前、(アッラーの道のために、善行に)費やしたもののことである。何であれ、その死後に遺していくものは、子々孫々の富である。」4 このハディースを指針に、私たちの祖先は善行の先駆者となり、マスジド、マドラサ、病院、炊き出し場、図書館、キャラバンサライ、橋、噴水などを建設しました。彼らは、感謝の思いとともに記憶されるべき数えきれないほどの功績を遺したのです。
親愛なるムスリムの皆様!
ワクフは、イスラーム文明の永遠の印章です。それは善への鍵であり、悪に対する錠前です。私たちの義務はワクフの設立、保存、そして将来の世代への継承に細心の注意を払うことによって、次の命令に従うことです。وَمَا تُقَدِّمُوا لِاَنْفُسِكُمْ مِنْ خَيْرٍ تَجِدُوهُ عِنْدَ اللّٰهِ 「……何であれ、あなたがたが自分自身のためにあらかじめ行った良いことを、あなたがたはアッラーの御許に見出すだろう。……」5 永遠の命は、私たちが積み上げ、蓄えたものにではなく、アッラーのために善の道に費やしたものにあることを忘れないようにしましょう。
この機会に、アッラーの道のために財産を費やしてこの世を去った恩人たちに慈悲があるよう、また今なおともにある人びとに健康と幸福があるよう祈ります。今週のホトバを、預言者ムハンマド(saw)の以下の訓戒をもって終わります。「アーダムの息子は、『私の富、私の富』と言いつのる。アーダムの息子よ。あなたが費やしたもの、利用したもの、着古してすり切れたもの、あるいは寄付として贈り、差し出したもの以外に、あなたの所有物となるものがあるだろうか?」6
[1] Tirmidhi, Manaqib, 18; Nasa’i, Ahbas, 4.
[2] Quda’i, Musnad al-Shihab, I, 365.
[3] Ali ‘Imran, 3/92.
[4] Bukhari, Riqaq, 12.
[5] Muzzammil, 73/20.
[6] Muslim, Zuhd, 3.
Prayer | Time |
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Fajr | 03:33 |
Sunrise | 05:05 |
Dhuhr | 11:44 |
Asr | 16:28 |
Maghrib | 18:22 |
Isha | 19:48 |