東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「ガザ、人類の名誉の試金石」
尊敬すべきムスリムの皆様！
人生の指針である聖クルアーンには、知恵と教訓に満ちた数多くの物語が記されています。そのひとつが、アスハーブ・アル＝ウッドゥード（堆塚の仲間）の物語です。この抑圧的な集団について、ホトバの冒頭で朗読した章句では以下のように描写されています。「堆塚の仲間は討ち取られた。火炎には燃料が給された。彼らがそのそばに座するとき、信仰者たちに対し、自分たちの行ってきたことを見届ける。彼らは、ただ彼ら信仰者が、威力ある御方にして称賛すべき御方、アッラーを信じたというだけで立腹していた。諸天と大地の主権はこの御方に属する。アッラーは、ありとあらゆるものごとの証言者。信仰者の男女を迫害し、そののち悔い改めない者には地獄の懲罰があるだろう。さらに彼らには、燃えさかる懲罰があるだろう。」1
親愛なる信仰者の皆様！
シオニストの抑圧者たちこそは、現代における「堆塚の仲間」です。狂気に駆られ、血に飢えた犯罪者たちは、人類史上もっとも残酷な虐殺をガザで行い、女性や子ども、老人であろうと容赦しません。私たちの兄弟、姉妹にパンの一切れ、水の一滴さえ与えず死に追いやり、全世界を脅せつけようともしません。彼らは降伏か、あるいは故郷を放棄するか迫ろうとしています。しかし、決して忘れてはならないことがあります。たとえ抑圧者が何かを企てようとも、その計画を完全に打ち砕くのはアッラーです。占領者たちが地図を描こうとも、究極の決定権はただアッラーのみに属します。
尊敬すべきムスリムの皆様！
過去から現在に至るまで、信仰者たちはしばしば抑圧されてきました。多くの預言者たち、その後に従う者たちが、暴君によって弾圧され、苦しめられてきました。今日、ガザでは、少数の信仰者たちが信仰と忍耐、そして尊厳をもって、シオニストの抑圧者たちと、抑圧者たちを支援するあらゆる邪な勢力に毅然と立ち向かっています。まさしく、「わずかな手勢がアッラーの思し召しにより、どれほど多勢を破ってきたことか。アッラーは、よく耐える者と共にある」2という崇高な聖句の通りです。歴史は確かに、カービールたちが敗北し、ハービールたちが勝利したことを証言しています。ニムロードたちは敗北し、イブラーヒームたちが勝利してきました。フィルアウンたちは敗北し、ムーサーたちが勝利してきました。アブー・ジャフルやアブー・ラハブは滅び、預言者ムハンマド・ムスタファ（saw）とそのウンマが勝利しました。現代においても、ガザの兄弟姉妹たちは勝利し、抑圧者たち、その支持者たちは、インシャアッラー、必ず敗北するでしょう。
親愛なる信仰者の皆様！
今日、ガザはムスリムだけでなく、全人類にとっての試練の地です。ガザは人類の名誉の試金石です。宗教、人種、肌の色に関わらず、この抑圧に立ち向かい、この世界を平和と正義の地にするために努力することは、私たち一人ひとりの責任です。そうでなければ、地上の誰ひとりとして安全ではいられません。ホトバの冒頭で朗読したハディースの中で、アッラーの使徒（saw）はこう語っています。「悪事をはたらく者を見ても、誰もそれを止めようとしないなら、アッラーはやがてあなたがたを懲罰で取り囲むだろう。」3
尊敬すべきムスリムの皆様！
抑圧と不正義が頂点に達した世界において、知識、科学、技術といったあらゆる分野において、物質的にも精神的にもより強くなることが私たちの務めです。しっかりと団結し、連帯をはぐみ、あらゆる分裂と不和とを避けることが私たちの務めです。لَا تَقْنَطُوا مِنْ رَحْمَةِ اللّٰهِۜ 「アッラーの慈悲に絶望してはならない」4という主の命令を導きとし、兄弟姉妹への援助と祈りとを増やすことです。しかし、祈り、援助するだけでは足りません。抑圧者を経済的に支えている製品をボイコットすることも、私たちの信仰と人間性において求められます。消費における私たちの選択は、単なる経済的な決定ではなく、道徳と良心によるものです。世界中の高潔で良心的な人びとの努力によって、抑圧者は必ず滅ぼされること、信仰者は疑いなく勝利することを忘れないようにしましょう。
[1] Buruj, 85/4-10.
[2] Baqarah, 2/249.
[3] Tirmidhi, Tafsir al-Qur’an, 5.
[4] Zumar, 39/53.
