東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「私たちの伝統文化と精神的価値を守るために」
親愛なるムスリムの皆様！
自らの文明を忘れ、外国の諸文化の影響下に置かれた社会は、やがて自分たちの歴史や言語、宗教、ひいてはアイデンティティを失ってしまいます。本当に、مَنْ تَشَبَّهَ بِقَوْمٍ فَهُوَ مِنْهُمْ 「誰かを模倣する者は、その人々の一員である」1 という私たちの預言者（saw）の警告の言葉は、私たちすべてにとって深い意味を持っています。私たちの宗教や伝統と何の関わりもない、非イスラーム的な伝統の人物に倣ったり、彼らと同じ服装をしたり、彼らのやり方で贈り物を配ったりすることは、私たちの信仰に反しており、誤りです。
真理と正義へ人類を招いた預言者の誕生を、彼が伝えた価値観に反するやり方で祝うことはできません。同様に、ハラールとハラームの境界を無視し、プライバシーの限界を踏みにじるような娯楽や行動は、私たちの信仰に反する罪深いものです。さらに、たとえどのような理由があろうと、さらに、いかなる理由があろうとも、罪なき人々を殺害する抑圧者を支援する人々が販売している商品を贈り物として交換することは、すべての殉教者、なかでもガザの殉教者の記憶を著しく穢す重大な罪にあたります。諸悪の根源であるアルコール飲料、家庭を崩壊させる賭博、家族と社会の基盤を揺るがす不品行な振る舞い、精神と意志の力を奪う麻薬や覚せい剤、そして不幸以外の何ももたらさない宝くじを含むギャンブル――こうしたハラームな行為は、新年の祝いや行事の名のもとであっても、正当化されることも、ハラールとされることも決してありません。
尊敬すべき兄弟、姉妹の皆様！
ムスリムがこのような、私たちの信条に反する過ちに陥るのは、現世主義に傾き、神の原則から遠ざかってしまったことに原因があります。私たちの愛する預言者（saw）は、この点について次のように警告しています。「あなたがたは、先人たちの誤った道を、完全に、文字通りになぞるであろう。彼らがとかげの巣穴に入ったなら、あなたがたもまた、そこへ入っていくであろう。」2 ですから、私たちを私たちたらしめ、揺るぎない信仰へと導く価値観を、しっかりと握り続けましょう。私たち自身を、そして家族や若い世代、子どもたちを、私たちの宗教にそぐわない誤った信仰や不適切な態度・行動から守りましょう。アッラーとその使徒に完全に従う者には、この世における平安と、来世における永遠の救済が約束されていることを、決して忘れないようにしましょう。
アル＝バカラ章の次の御言葉をもって、本日のホトバを終わります。「ユダヤ教徒もキリスト者も、あなたが彼らの宗旨に従わない限り、あなたに満足しないだろう。言いなさい。『アッラーの導きこそ、導きというもの』。…」1
[1] Abu Dawud, Libas, 4.
[2] Bukhari, Anbiya, 50
[3] Baqarah, 2/120.
