ご挨拶

親愛なる皆様へ

信仰を持つ人々は歴史を通して常に礼拝の場を必要としてきました。礼拝の場とは、宗教の教えを人々に伝えると共に、様々な崇拝や儀式がとり行われる場であり、人と神、人と人、また人と人以外の存在との関わりのあり方をととのえるための場として、あらゆる宗教にとり欠かすことのできないものであったからです。人々がお互いに良好な関係を築いてゆくために、礼拝の場は重要な役割を果たしてきました。

礼拝の場を通して、人々はお互いにより親しくなり、問題があればその解決のために協力し合い、手を取り合って行動を共にしてきました。加えて礼拝の場は、社会の中で人々にとり最も安全な場であるとも考えられてきました。時には罪を犯した人が、自分の命を守るために礼拝の場に避難してきました。またある時には俗世を離れた修行者たちが、悟りにたどりつく道の出発点としての礼拝の場に住まい、またある時には裕福な人が、自分の所有する富や財産を預けておく蔵として礼拝の場を選んだのです。その意味において、現代における銀行で行われている預貯金といったシステムは礼拝の場においてその最初の一歩を歩み始めたという説は、決して否定できるものではありません。

イスラムという宗教においては、集団での崇拝・礼拝の行為が重要視されてきました。そのため、礼拝の場を求める声はムスリムの増加に伴って高まり続け、結果としてイスラムが主要な宗教を占める地域のいたる所に、大規模かつ壮麗な礼拝場が建設されることとなりました。メディナに位置する預言者モスクをはじめ、著名なものとしてはシリアのウマイヤ・モスク、スペインのコルドハ・モスク、イラクのサマッラー・モスク、エジプトのイブン・トゥールーン・モスク、ウズベキスタンのカラーン・モスク、パキスタンのファイサル・モスク、トルコのスルタンアフメト・モスク、スレイマニエ・モスク、セリミエ・モスクなどが挙げられます。

日本の東京ジャーミイは、日本の皆様の友好的なもてなしを頼りに、ロシアのカザンから日本に避難してきたタタール人たちにより1938年に建設されました。その後、老朽化のため2000年に再建され、現代の私たちにとり伝統と未来をつなぐ架け橋としてその役割を果たしています。

東京ジャーミイはオスマン・トルコ様式を踏まえて建設されたことにより、伝統を継承しつつも、その一方で現代建築としての特徴も備えています。1階の多目的ホールでは結婚式、演劇、展示・展覧会、講演といったさまざまな活動が行われており、ユニークな魅力をたたえて未来への光を放っています。

東京ジャーミイは、イスラムについて正しい知識を得るための複合施設のひとつとして、連日 大勢の日本の皆様にご来訪いただいております。皆様をお迎えすることが、伝統ある日本とトルコとの友好関係により良いみのりをもたらすものと確信しております。東京ジャーミイに対する皆様の御好意に心より感謝を申し上げます。

宗教法人 日本・ディヤーナト