東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「イスラームの理想を生かし続けること」

尊敬すべきムスリムの皆様!
預言者(saw)が人びとにタウヒードを勧め始めたばかりの頃のことです。ムスリムの数は、日に日に増えていました。偶像を崇拝していた者たちは、何としてでも彼らを信仰から引き離そうとしていました。預言者(saw)のもとに、おじのアブー・ターリブを送り込んで伝道を思いとどまらせようとしました。しかし、アッラーの使徒(saw)は、真理の旅から決して退こうとはせず、自らの決意を次のように言い表しました。「アッラーにかけて。アッラーの勝利がもたらされる前に私がこの道を棄てるか、その中で滅びよという条件で、彼らが私の右手に太陽を、左手に月を持たせたとしても、私はこの道を棄てないでしょう。」1

親愛なる信仰者の皆様!
この態度と姿勢を通して、愛すべき預言者(saw)は私たちに、イスラームには未来像と理想があるということを教えていたのです。この理想とは、アッラーへの信仰によって人びとの意識と心を教え導こうとする努力のことです。それはアッラーの崇高な御名を、地上の四隅にまで宣べ伝えようというイラー・イ・カリマトゥッラーの決意のことです。最後の預言者であるムハンマド・ムスタファ(saw)の模範的な道徳に、人びとを招こうと努力することです。この理想とは、知識、知恵、愛、尊敬、思いやり、慈悲に基づいた文明を地上に築こうとする決意のことです。抑圧と悪を防ぎ、正義と善が世界に広がるようにする意志のことです。全能の主は、実際に私たちに、この意志を守るよう命じておられます。「そしてあなたがたは共同体として、[その内側から人々を]良いことに招き、親切を勧め、非道を禁じなさい。これらの者こそ、栄える者。」2

親愛なるムスリムの皆様!
イスラームの理想は、聖クルアーンと預言者ムハンマドのスンナを基礎としています。これら2つを典拠として導かれ、地上における人間らしい生活を確立しようとつとめてきました。預言者(saw)の死後5年めにはアル=クドゥスを抑圧の束縛から解放し、平安と平穏の地ダール・アッ=サラームに変えました。7年めにはディヤルバクルの城壁にイスラームの旗を掲げ、アナトリアにおけるイスラームの夜明けへの道を開きました。

親愛なるムスリムの皆様!
今日、私たちに課せられている義務とは、イスラームが教える崇高な理想を生かし続けることです。団結、連帯、同胞愛、愛情を、常に守ることが私たちのつとめです。故郷と人びとに仕掛けられた罠を取り除くためには、あらゆる分野において強くならなくてはなりません。私たちの義務は、悪ではなく善を、抑圧ではなく正義を、憎しみではなく愛を広めることです。これらの崇高な価値観を教え、実践する強い家庭を築くことです。未来を守る子どもたちを、その故郷、その精神的な価値観に誠実で、社会と人びとにとって有益な世代として育てることも私たちの義務です。

本日のホトバを、特にガザとパレスチナを含め、抑圧されているすべての人びとが勝利し、尊重されるであろうこと、占領者・抑圧者とシオニストが敗北し、屈辱をこうむるであろうことを示す、次のハディースをもって終わります。「イスラームは、夜と昼が訪れるあらゆる場所へと必ず到達する。アッラーは、泥の家であろうと、けものの皮でできた家であろうと、この教えをその中へ入れずにはおかれない。これにより、ある者は名誉を授かり、またある者は恥辱をこうむるだろう。アッラーはイスラームには称賛を、不信仰には恥辱をもたらす。」3

[1] Ibn Hisham, Sirah, I, 101.
[2] Ali ‘Imran, 3/104.
[3] Ibn Hanbal, IV, 104.


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