東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「ムハッラム月とアーシューラーの日」

金曜礼拝のホトバ

尊敬すべき信仰者の皆様!
アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)によって創造された月々や日々、そして夜には、多くの貴重な恩恵の季節が存在します。いま私たちが過ごしているムハッラム月も、やはり貴重な時期のひとつであり、大切に過ごすべき贈り物のように受け止められています。

親愛なるムスリムの皆様!
ムハッラム月は、戦いが禁じられている聖なる四か月のうちのひと月です。私たちの全能の主(スブハーナワ タアーラー)は、聖クルアーンにおいて次のように告げておられます。「本当に、アッラーの御許において[一年の]月の数は十二である。御方が諸天と大地を創造したその日から、アッラーの書に[そう]記されている。そのうち四[つの月]は聖なるもの。これこそ、まっとうな宗教である。……」1 私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)もまた、この月のもたらす精神的なみのりについて、ハディースの中で語っています。「ラマダンの月の後で最も好ましい斎戒とは、アッラーの月であるムハッラムに行われる斎戒である」。2

尊敬すべき兄弟、姉妹の皆様!
来週の月曜日はムハッラム月の10 日め、アーシューラーの日にあたります。私たちの最愛の預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は「アーシューラーの日には斎戒をしなさい。本当に私は、そうすることでアッラーが前年の罪を赦してくださるよう願っている」3 と語り、信仰者たちに対してムハッラム月の九日め、あるいは十一日めのいずれかとアーシューラーの日、併せて二日間のサウムをするよう勧めています。4

親愛なるムスリムの皆様!
アーシューラーの日は、私たちの歴史と記憶の中で深い嘆きと共にある日でもあります。悲しむべきこの日、私たちの最愛の預言者(彼の上に祝福と平安あれ)が、またアリーとファーティマ(主のご満悦あれ)が目の中に入れても痛くないくらいに愛したフサイン(主のご満悦あれ)が、彼の近くにいた七十名を超えるムスリムたちと共に殉教しました。カルバラーとはアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)とその使徒(彼の上に祝福と平安あれ)を信じ、預言者の家の人々(アフル・アル・バイト)への愛をその心に刻んでいる者たちすべてに共通する痛み、悲しみであります。カルバラーの悲劇を引き起こした人々は、生まれや学派に関わらず、良心あるすべてのムスリムたちによって例外なく非難されてきました。

痛みと苦しみに涙を流すという意味において、今日(こんにち)、イスラム地域の多くはあたかもカルバラーのようになってしまっています。私たちの兄弟、姉妹が迫害を受け、罪もない女性や子どもたちまでもが命を奪われているときに、私たちに課された義務とはカルバラーについて正しく理解すること、またフサイン(主のご満悦あれ)がそうしたように、不正に対しては立ち向かうことであります。

尊敬すべき信仰者の皆様!
全能のアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)は聖クルアーンを通して次のように命じておられます。「また、これこそはわれのまっすぐな道。だからこれに従いなさい。そして[これ以外の]諸々の道に従ってはならない。御方の道から、あなたがたが分かたれることのないように。……」5 アッラーの使徒は、私たちへの助言として次のように語っています。「お互いのあら捜しをしてはならない。お互いの私生活を探ってはならない。お互いに嫉妬してはならない。お互いに背を向けてはならない。お互いに憎み合ってはならない。アッラーのしもべたちよ、あなたがたはお互いにきょうだいでありなさい」。6

ですから善と善行の側に立ち、悪と悪行に立ち向かいましょう。フサイン(彼に平安あれ)がそうしたように、正義と真実をあるべき善の状態に保つようにしましょう。イスラムの光の下、私たちは心を合わせて連帯、友愛、団結を目指して走りましょう。カルバラーで殉教を遂げたフサイン(主のご満悦あれ)に、また預言者の家の人々に平安がありますように。神聖なもののために自らの命を犠牲に捧げた、すべての殉教者に平安がありますように。来世において高められ、楽園がその住まいでありますように。


[1] Tawbah, 9/36.
[2] Tirmidhi, Sawm, 40.
[3] Tirmidhi, Sawm, 48.
[4] Ibn Hanbal, I, 240.
[5] An’am, 6/153.
[6] Bukhari, Adab, 57.

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