東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「労働倫理:社会の平安の源」

「労働倫理:社会の平安の源」

親愛なるムスリムの皆様!
全能の主は次のように告げておられます。「荷を負う者が、他者の荷を負うことはできない。人間は、ただ自分が努力したことだけを得る。」1
また、私たちの預言者ﷺは、ハディースを通してこう語っています。「本当に、全能のアッラーはあなたがたが善行を完成させることを愛しておられる。」2

親愛なる信仰者の皆様!
私たちの偉大な宗教であるイスラームが啓示された目的のひとつは、生活のあらゆる面において善良な道徳を道しるべとする社会を築くことです。全能のアッラーが現世と来世の幸福のために崇拝を命じたのと同じように、主(スブハーナ ワ タアーラー)は、仕事をする上で道徳的に善良であるようお命じになりました。
労働倫理とは、私たちが仕事をする上での誠実さ、信頼性、敬意、公正さといった基本的な価値観を反映させたものです。仕事をきちんとやりとげ、他の人や公共の権利を尊重し、自分たちの発言や、自分たちが何ものであるかについて正直であることです。いつでもハラールを目指して努力し、収入の中にハラームなものが入り込んだり、言葉の中に嘘が紛れ込んだりするのを許さないことです。

親愛なるムスリムの皆様!
労働倫理は、個人の実生活全体に影響を及ぼす美徳です。部下であることの倫理規定があるように、上司であることにも倫理規定があります。従業員であることの倫理規定があるように、雇用主であることにも倫理規定があります。売り手としての倫理規定があるように、買い手としての倫理規定があります。
アッラーの使徒ﷺは善良な人格を完成させるために遣わされ、「誰であれ、 自分のために求めるもの同胞のために求めるようになるまでは、信仰を持ったことにはならない」3 と語り、個人的な利益にとらわれず、他人の権利と法とを順守し、社会生活においては公正でバランスのとれた生活を送るよう助言しています。私たちに課されているのは、愛する預言者ﷺの誠実な心を身につけ、使命感をもってひとつひとつの仕事をやり遂げることです。私たちの義務とは、権利に対する預言者の感性を見習い、働く者の権利を侵害しないよう、またその健康や安全に注意を払うことです。

親愛なるムスリムの皆様!
私たちに与えられたすべてのものごとを、主(スブハーナ ワ タアーラー)から託された、主のお喜びを得るための機会ととらえるようにしましょう。きちんとした仕事をし、現世と来世の両方を実りある生にしましょう。私たちのすべての行いにおいて、ハラールの感覚を守りましょう。アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)の御目に私たちを価値ある存在とするのは、創造の目的に従って行動し、行いのすべてにイスラームの道徳を反映させることであるのを忘れないようにしましょう。

[1] Najm, 53/39-40.
[2] Bayhaqi, Shu‘ab al-Iman, 4/334.
[3] Tirmidhi, Sifat al-Qiyamah, 59.


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とうきょうジャーミイ きんようれいはい の ホトバ(ひらがな と カタカナ PDF)