東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「抑圧は繁栄をもたらさない」

「抑圧は繁栄をもたらさない」

 

 

 

 

尊敬すべきムスリムの皆様!
朗読した章句において、全能の主(swt)は 「[真理を]拒み、不正をなす者たち。アッラーは決して彼らを赦すことなく、またどのような道程にも導くことはないだろう」1 と告げておられます。
また、ハディースの中で、預言者(saw)は「虐げられた者の嘆願に注意を払いなさい。彼らとアッラーの間には、さえぎるものは何もない」2 と語っています。

親愛なる信仰者の皆様!
私たちの崇高な宗教であるイスラームは、平和と繁栄、公正さと慈悲の宗教です。イスラームにおいては、誰であろうと宗教、生命、財産、理性、そして子孫の侵害はあってはならないことです。慈悲の使者として遣わされた愛すべき預言者(saw)は、戦争においても道徳と法があることを全世界に教えました。アッラーの使徒(saw) は、たとえ戦時下であろうと、女性、高齢者、子ども、礼拝所、さらには植物、動物にも、決して危害を加えてはならないと命じました。

親愛なる信仰者の皆様!
約1世紀前、パレスチナの領土からそれまでの平和と静けさが消え去り、争いと抑圧の種がまかれました。イスラエルは、ムスリムが多く住む地域の心臓部に刺さった錆びた短剣のように、占領地におけるムスリムに対するあらゆる残虐な行為を躊躇することはありませんでした。平和なこの地を占領した最初の日から、国際法と人権とを侵害し続けており、このことは、人類にとりもっとも由緒ある都市のひとつと呼ぶべき、あらゆる信仰によって神聖視されているアル=クドゥスの尊厳を傷つけるふるまいです。それは私たちの最初のキブラであり、礼拝のための聖所であるマスジド・アル=アクサ―の尊厳を傷つけるふるまいです。

尊敬すべきムスリムの皆様!
残念なことに、現在 私たちが住むこの世界は、戦争や占領、世界的な危機に取り囲まれています。この悲劇のもっとも高い代償を払わされているのは、弱者、抑圧されている人々、そして子どもたちです。今まさにガザで起こっていることは、そのもっとも明白な例です。イスラエルは長年にわたり、パレスチナの町であるガザを、世界最大のいわゆる「天井のない監獄」にしてきました。封鎖されたガザにいる兄弟、姉妹たちは、最低限の必要さえも満たせずにいます。家や土地を追われ、財産や持っていたものを不当に奪われ、生きる権利を完全に否定されているのです。民間人、女性、子ども、高齢者、すなわちこの国の全員が、恐るべき兵器や爆弾によって虐殺されてきました。そして今、ガザでは歴史上もっとも残虐な行為が全世界の目の前で行われています。こうしたあらゆる抑圧と迫害に直面したムスリムのすべきこととは、自由を求めて粘り強く奮闘を重ねることに他なりません。

親愛なる信仰者の皆様!
歴史は人類に対し、抑圧は永遠には続かないこと、また抑圧は決して繁栄をもたらさないことを教えてくれています。罪なき人々の血によって築かれた権力が、長続きすることはありません。وَاللّٰهُ مُتِمُّ نُورِه۪ وَلَوْ كَرِهَ الْكَافِرُونَ 「アッラーはその光をまっとうする、たとえ[真理を]拒む者が嫌おうとも。」3 パレスチナの兄弟、姉妹たちも、アッラー(swt)の許しと助けにより、自分たちの土地で自由に暮らせるようになるでしょう。

親愛なる兄弟、姉妹の皆様!
預言者ムハンマド (saw)のウンマとして、私たちは団結と連帯をもって行動することが義務となります。 同胞愛の法則を守り続けなくてはなりません。パレスチナの兄弟、姉妹による合法かつ正当な奮闘を、物心両面において支えることが、私たちのつとめです。また、占領された彼らの土地を取り戻すために全力を尽くす必要があります。権利と正義のための奮闘において、イスラームが定める境界線を決して越えてはなりません。偽の情報や、誤ったコンテンツなどに依存してはなりません。私たちはあらゆる分野に強くなり、地上における公正さと慈悲の保証人となるような文明を再び築くために、全力で取り組まなくてはならないのです。

[1] Nisa, 4/168.
[2] Muslim, Iman, 29.
[3] Saff, 61/8.


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