東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「慈悲と平安の吉報:アッ=シャルフ章」

「慈悲と平安の吉報:アッ=シャルフ章」

 

 

 

 

尊敬すべきムスリムの皆様!
アッラーの使徒(saw)にとり、預言者としての最初期のころのことです。マッカのムスリムに対する迫害と冷遇がますますひどくなり、信仰者たちの生活は耐え難いものとなっていました。このような苦難のとき、全能のアッラーから啓示されたのが、多くの喜びの報せと多くの知恵を含むアッ=シャルフ章です。私たちの預言者(saw)は、この章の啓示に大きな安堵と喜びを見出しました。あらゆる苦難の後には、必ずや私たちの主(swt)がやすらぎと平安をもたらしてくださるという吉報を伝えたのです。1

親愛なる信仰者の皆様!
本日、私は世界中の、特にパレスチナで抑圧と迫害に苦しんでいるすべての兄弟姉妹に、信仰者たちの心を慰め、希望を与えるアッ=シャルフ章のメッセージを伝えたいと思います。
「われらは、あなたの胸を広げたではないか。あなたから、その重荷をとり除いたではないか。それはあなたの背に、重くのしかかっていた。それから、あなたの声望を高めたではないか。」2

私たちは、すべてを支配する力を持つのはアッラー(swt)であると信じています。慈悲と慈愛をもって私たちを包んでくださるのはアッラー(swt)です。魂の苦しみを取り除き、心にやすらぎを与えてくださるのもこのお方(swt)です。全能のアッラー(swt)は、私たちの肩の重荷を下ろし、あらゆる種類の困難や苦難から確実に私たちを救ってくださいます。

親愛なる信仰者の皆様!
アッ=シャルフ章が思い出させてくれるもうひとつの真実は、 「それゆえ本当に、安楽は苦境と共にあり、本当に、安楽は苦境と共にある」3 というものです。

私たちは、あらゆる悲しみの後には必ず喜びが訪れ、あらゆる苦難の後には必ず安堵が訪れると信じています。全能のアッラー(swt)は、決して預言者と信仰者たちを見捨てませんでした。決して彼らを、抑圧者や敵の手の中に放置することはなさいませんでした。洪水のもたらす破壊から預言者ヌーフを、ニムロードの火から預言者イブラーヒームを、フィルアウンの圧政から預言者ムーサーを、そして井戸の底の暗闇から預言者ユースフを救いました。そして最後に、真理を拒否する者たちによるあらゆる迫害や抑圧から私たちの預言者(saw)を救い出し、繁栄に導き、多くの勝利の道を切り開かれたのです。

親愛なるムスリムの皆様!
アッ=シャルフ章は、次の真実も教えています。 「それゆえ[義務を]なし終えたとき、[崇拝に]立ち返りなさい。あなたの主に、すべてを明け渡しなさい。」4

章句にあるとおり、怠惰や怠慢は私たちにふさわしくありません。信仰者が無責任であったり、怠慢であったり、自己満足に陥ったりしてはなりません。地上に善が行き渡るまで、正義と真実、公正さと慈悲を掲げ、これに沿って生き、また地上に広めようと努めるのです。アッラー(swt)のお喜びのため、あらゆることを行います。信仰がもたらす強さのおかげで、困難に直面しても希望を失いません。自分たちの自立性と未来を守るため、全力を尽くすのです。

[1] Muwatta, Jihad, 6; Suyuti, Jami’ al-Saghir, 7374.
[2] Sharh, 94/1-4.
[3] Sharh, 94/5-6.
[4] Sharh, 94/7, 8.


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とうきょうジャーミイ きんようれいはい の ホトバ(ひらがな と カタカナ)(PDF)