東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「誤った信念や迷信について」

尊敬すべきムスリムの皆様!
ある日のことです。父方のいとこアブドゥッラー・イブン・アッバースと遠征に出ていた預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)が、彼に対し次のように助言しました。「若者よ、あなたに教えておきましょう。アッラーを忘れずにいなさい。そうすればアッラーは、あなたを守りたもうでしょう。アッラーを忘れずにいなさい。そうすればあなたは、自分の目の前にアッラーを見いだすでしょう。願いごとがあるなら、ただアッラーにのみ願いなさい。助けを求めるなら、ただアッラーにのみ助けを求めなさい。そしてもし人々があなたに益をもたらそうと群れをなして集まったとしても、あらかじめアッラーがあなたのために定めたものの他には、彼らがあなたに益をもたらすことはなく、また、もし人々があなたを害そうと群れをなして集まったとしても、あらかじめアッラーがあなたのために定めたものの他には、彼らがあなたを害することはないと知っておきなさい」。[i]
親愛なる信仰者の皆様!
崇高な宗教であるイスラムは、あらゆる誤った信念や迷信をしりぞけます。知識が足りなかったり、救いを求めて必死になったりしているところにつけ入り、人々の感情や尊厳を餌食(えじき)にすることは重大な罪であるとみなします。しかし人々は、時としてそうした宗教の原則に注意を払わず、占い師や魔術師、まじないや魔法、霊媒(れいばい)といったものが助けになるのではと期待してしまいがちです。
「未来を予知する」「運命が変わる」「幸運をもたらす」「病気が完治する」と断言することも、助かりたい一心でそういった行為に加担することも、イスラムの本質に反しています。未来を知るのも、すべてのものごとに最も大きな権威を持つのも、ただアッラー(スブハーナワタアーラー)のみだからであります。
親愛なるムスリムの皆様!
少し考えてみましょう。他人の問題を、魔法や魔術によって解決できると主張する人々が、自分の問題を解決できずにいるのはなぜでしょうか。未来に何が起きるか予測できると主張して、他人の希望につけ入る人々が、その知識を用いて自分の進むべき正しい道を見いだせずにいるのはなぜでしょうか。
親愛なる信仰者の皆様!
全能のアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)は、アル・ファラク章において次のように告げておられます。言いなさい。私は、夜明けの主の加護を求めます。その創造されたものの悪から。更けゆくときの暗闇の悪から。結び目に息を吹きかける者の悪から。妬(ねた)む者が妬むときの悪から[ii]
ですから私たちは、誤った信念や迷信を避け、アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)が、信仰と善行にふさわしいよう創りたもう清らかな人間性を損ねることのないようにしましょう。心を誠実にし、宗教的に正しい知識と意志を持つことにより、私たちの最も貴重な宝物である信仰を強めましょう。正当な手段と労働によって生計を立て、病気のときは病院の治療を受け、理性を求めて努力を積み重ねることを、穏やかな人生の原則とするようにしましょう。努力を惜しみ、生計を立てるのに不当な手段を勧めるような、期待だけを売りつける商人にだまされることのないようにしましょう。現世と来世における成功と救済、癒しと天命は、ただアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)にのみ求めましょう。私たちが心の底から願ったのなら、アッラーがその祈りを放置することは決してないと、常に信じるようにしましょう。

[i] Tirmidhi, Sifat al-Qiyamah, 59; Ibn Hanbal, I, 293.
[ii] Falaq, 113/1-5.


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