東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「孤児たちについて:全能のアッラーから人々への信託」

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尊敬すべきムスリムの皆様!
ウフドの戦いが終わり、ムスリムたちがマディーナに帰還したときの出来事です。小さな子どもが一人、預言者(彼の上に祝福と平安あれ)のところへやって来てこう尋ねました。「お父さんはどうなってしまったのですか」。するとアッラーの使徒 (彼の上に祝福と平安あれ)は、次のような言葉を口にしました。「あなたのお父さんは殉教したのです。彼の上にアッラーの平安がありますように」。これを聞いて、子どもは泣き出しました。慈悲のみ使い(彼の上に祝福と平安あれ)はこれを捨て置けず、自分の腕の中に子どもを引き寄せ、抱きしめました。それから「泣かないで」と子どもをなだめ、次のように語りかけました。「私があなたの父になり、アーイシャがあなたの母になろう。それなら大丈夫でしょう?」。すると子どもは、元気を取り戻し、こう答えました。「はい、それならきっと大丈夫です」。アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)の使徒は殉教者となった男が委ねていったものを受け入れ、遺された子どもの孤独をいやし、自分が孤児であることを忘れさせたのでした。[1]

親愛なる信仰者の皆様!
私たちの崇高な宗教であるイスラムは、親をなくした子どもたちを保護し、守り、世話をするよう命じています。孤児たちをていねいに扱い、思いやりといつくしみをもって接するよう勧めています。孤児たちは全能のアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)から私たち全員に託された、アッラーの罪なきしもべたちなのです。この事実について、預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は次のように語っています。「ムスリムの家のうち、最も優れているのは、孤児がよく世話をされている家である」[2]

親愛なるムスリムの皆様!
孤児を虐待したり、放置したり、彼らの世話をせず、見捨てたままにしておくのは重大な罪です。彼らの権利を侵害し、彼らの財産の方にばかり目を向けることは重大な罪であり、その重さには耐えられないほどです。この点について、私たちの全能の主(スブハーナ ワ タアーラー)は聖クルアーンを通して次のように警告しています。 「それゆえ、孤児を虐げてはならない。また、乞い求める者を叱ってはならない。しかしあなたの主の恩寵については、いつでも話しなさい。」[3]

親愛なる信仰者の皆様!
あるとき預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)は、人差し指と中指をつけて見せ、次のように語りました。「孤児を保護する者と私は、天国ではこのようである」[4]

[1] Ibn Hajar, Isaba, I, 302.
[2] Ibn Majah, Adab, 3.
[3] Duha, 93/9-11.
[4] Bukhari, Talaq, 25.


https://youtu.be/rZ9fnzxnAUM

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