東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「現世の生、善をなす旅」

尊敬すべきムスリムの皆様!
先ほど朗読したアーヤの中で、いと高きアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)は、次のように告げておられます。「善事をもって来る者には、それと同じようなものが十倍にされる。悪事をもって来る者は、それと同じようなもので報いられるだけ。彼らが、不正に扱われることはない」。[i]

また、アッラーの使徒(彼の上に祝福と平安あれ)は、ハディースの中で次のように語っています。「美徳とは親切な気心のことである。悪とは、あなたの心に食い込んでいて、決して他人には見られたくないと思っているもののことである」。[ii]

親愛なる信仰者の皆様!
この世の生とは、善をなす旅のようなものです。私たちのもっとも重要な義務とは、信仰し、善行をなし、地上に善を広めることです。私たちのもっとも基本的な義務とは、悪いこと、不適切なこと、有害な行いを避け、防ぐことです。アッラー、審判の日、天使たち、啓典、預言者たちを信じることは善行にあたります。それは自分の持てるものの中から、親戚、親を失った子どもたち、貧しい人々、旅人のために慈善をすることを意味します。礼拝をし、喜捨(ザカート)を払い、約束を守ることであり、貧しいとき、病気のとき、困難のときには助け合い、富めるとき、健やかなときはアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)に感謝することを意味します。[iii]

善行をなすには、誠実なしもべであること、礼儀正しい子どもであること、慈悲深い両親であること、誠実な配偶者であることが求められます。それは親戚や隣人と、喜びや悲しみを分かち合うことを意味します。善行とは、抑圧された孤児に、老いた両親に、目上の人々に手を差し伸べることです。

親愛なる信仰者の皆様!
このことを踏まえて、今からでも私たちの生に意味を持たせましょう。善行によって人々の心を勝ち取り、ドゥアーをしてもらえるようになりましょう。必要としている人に、思いやりの手を差し伸べましょう。孤独な人の心に、思いやりの心を届けましょう。疲れている人はいないか目配りをし、心が晴れるようにしてあげましょう。悪は不平不満を言うことによってではなく、立ち向かい、善を広めることによって防げるのだということを忘れないようにしましょう。善とは口先のことでも、読んだり書いたりすることでもなく、行動そのものなのです。

[i] An‘am, 6/160.
[ii] Muslim, Birr, 15.
[iii] Baqarah, 2/177.


東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「現世の生、善をなす旅」.(PDF)

とうきょうジャーミイ きんようれいはいのホトバ (ひらがな と カタカナ PDF)