東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「スィラート・アッ=ラヒーム、慈悲と祝福の機会」

「スィラート・アッ=ラヒーム、慈悲と祝福の機会」

 

 

 

 

尊敬すべきムスリムの皆様!
全能の主(swt)は、次の章句においてこう告げておられます。 「……あなたがたが、その御名において互いに尋ね合うアッラーを、また子宮[から生じる血縁]を畏れなさい。本当にアッラーは、いつもあなたがたを見守っている。……」1 また、ハディースを通して、預言者ﷺは以下のように語っています。「糧を増やし、長寿をまっとうしたいと願うなら、親せきとの絆を保つようにしなさい。」2

親愛なる信仰者の皆様!
私たち信仰者が守るべきもっとも大切な価値観のひとつが、スィラート・アッ=ラヒームです。スィラート・アッ=ラヒームとは、家族、親せき、隣人と良い関係を築くことを意味します。彼らとの絆を壊すことなく、喜びも悲しみも分かち合い、困っていたら助けに駆けつけ、倒れたときは起き上がれるよう手を差し伸べ、思いやりと優しさ、愛情をもって互いに支えあうことです。

親愛なる信仰者の皆様!
私たちは、テクノロジーが目まぐるしく進歩する時代を生きています。いつでも好きなときに地球の裏側にいる人と連絡を取ることができ、音声でも、ビデオでもやり取りすることができます。しかしこうした発展とはうらはらに、私たちの互いの距離は日に日に遠ざかり、もっとも近しいはずの両親でさえないがしろにしているように思えます。日を追うごとに、私たちはますます個人化し、群衆の中にいながらにして孤立してゆきます。現代においては、孤独の中に見捨てられ、愛しいわが子の訪れを待ち望む寂しい両親が数多く存在します。自分たちに関心を寄せてほしいと思っている親せきが数多く存在します。悩みごとを打ち明け、少しでも心を軽くしたいと望む親しい人たちがたくさんいます。挨拶や心からの笑顔、親しみや温かさを求める隣人がたくさんいます。

親愛なるムスリムの皆様!
慈悲の機会であるスィラート・アッ=ラヒームを捨て去ることのないようにしましょう。祝福を失うことのないようにしましょう。両親を幸福にしましょう。親せきの優しさと真心、声かけや心からの笑顔を惜しまないようにしましょう。結婚式、イード、葬式の際には、彼らを一人にしないようにしましょう。年長者を敬い、親せきを幸福にすることを、子どもたちが私たち自身を通して学べるようにしましょう。分かち合うことで喜びは増し、悲しみは減るということを、若いひとたちが私たち自身を通して学べるようにしましょう。

今週のホトバを、アッラーの使徒ﷺの次のハディースをもって終わります。「スィラート・アッ=ラヒームはアッ=ラフマーンであるアッラーからもたらされる。親せきとの絆を保つ者とは、アッラーも絆を保ってくださる。絆を絶つ者とは、アッラーも絆を絶たれる。」3

[1] Nisa, 4/1.
[2] Bukhari, Adab, 12.
[3] Tirmidhi, Birr, 16.


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とうきょうジャーミイ きんようれいはい の ホトバ(ひらがな と カタカナ)(PDF)