東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ 「清浄な食事、清浄な世代」

尊敬すべきムスリムの皆様!
ある日、アッラーの使徒(彼の上に祝福と平安あれ)は、その教友たちの前で、すべての人類に向けてこう語りました。「人々よ。アッラーは清らかであり、したがって清らかなもののみを受け入れる。アッラーは、信仰者にこう命じている」。そして、次の節(アーヤ)を朗唱しました。「あなたがた使徒たちよ、善い清いものを食べ、善い行いをしなさい。われはあなたがたのすることを熟知している」。
その次にアッラーの使徒(彼の上に祝福と平安あれ)は、ある人について言及しました。その人は長い旅をしてきたところで、髪はほつれ、衣服は埃(ほこり)にまみれていました。彼は両手を空に掲げ、「主よ、主よ」と祈っていました。アッラーの使徒(彼の上に祝福と平安あれ)は言いました。「彼が食べたものは合法ではなく、彼の飲んだものは合法ではなく、着ているものは合法ではなく、彼が口にしてきたものは合法ではなかった。それで、どうしたら祈りが受け入れられるだろうか」。

尊敬すべき信仰者の皆様!
天と地の所有者であるアッラーは、人類のために広大な宇宙と居住(きょじゅう)可能な世界を創造なさいました。そしてその世界を、甘く心地よい水、また数えきれない種類のおいしい食べ物で飾りました。作物を育てるための土地や果樹園(かじゅえん)、またそれを育てる太陽と雨を、私たちに恵んでくださいました。人間の役に立つようにと、数えきれないほど沢山のものを創造なさいました。その一つひとつが独特で、美しく貴重なものばかりです。そしてその上で、しもべたちに対し、選択をするようにと、次の通りお命じになりました。「アッラーがあなたがたに与えられた良い(清潔で)合法なものを食べなさい。あなたがたが信じているアッラーを畏れなさい」。

尊敬すべき信仰者の皆様!
社会における物質的、精神的な破壊が、食物の遺伝子操作から始まっています。ハラールとハラームに対する無関心は、人間の意識を汚染するものです。道徳的な価値や人間的な価値が顧(かえり)みられなくなれば、人間が食べ、飲み、生産し、消費するものは、利益よりもむしろ害を引き起こすようになります。その結果として、社会的な退発がもたらされ、ひいては若い人たちの性格や意識、世代そのものを汚してしまうことになります。愛と敬意、そして寛容のない環境が生まれ、邪悪な言動や不公正が増えることになります。事実、全能の主(スブハーナワ タアーラー)は聖クルアーンにおいて、偽善者たちに言及し、次のように告げておられます。「かれらは背を向けるやいなや、地上に悪を広めることにつとめ、収穫物や家蓄を荒し廻る。だがアッラーは邪悪を愛されない」。このように、平和と、地上の秩序を破壊しようとする人々は、作物や世代を退廃させようとするのです。このアーヤ(節)は、清浄な食べ物を生産し、豊かな後世を築くようにとの、信仰者に対する警告であると同時に、招きでもあります。

親愛なるムスリムの皆様!
すべての言葉と行動がそうであるように、すべての食べ物の一口(ひとくち)も、私たちの人生に深い影響をもたらします。私たちには人間として、自分が食べるもの、また家族や愛する人々が食べるものを見守る責任があります。世界は私たちに委ねられており、私たちはお互いに、相手に信頼されているのです。ですから、私たちの責任を認識し、穏やかで、道徳的な生活のあり方を選択するようにしましょう。ハラールな所得、清浄な生産、バランスのとれた消費に努め、そして健やかな世代を育むようにしましょう。


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