東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「預言者からの時を超えた遺産、別れの説教(ホトバ・アル=ワダー)について」

尊敬すべきムスリムの皆様!
以前であれば、毎年 イードを迎える喜びには、巡礼者たちが唱える「ラッバイク、アッラーフンマ ラッバイク」のかけ声が伴っていたものでした。アッラー(スブハーナ ワ タアーラー)が、一刻も早く健やかに、元気に、そして安全に、私たちを聖地に行かせてくださいますように。カーバの周囲をタワーフし、マスジド・アン=ナビーから安らぎを得られるようにしてくださいますように。

親愛なるムスリムの皆様!
精緻に対するあこがれを、少しでも満たすために、今ここで預言者の別離の巡礼(ハッジ・アル=ワダー)について思い起こしてみましょう。別離の巡礼の間に彼が行ったホトバに込められている、時代を超越してすべての人々に遺されたメッセージについて考えてみましょう。

親愛なる信仰者の皆様!
アラファに集まった大勢の聴衆を前に、慈悲の預言者(彼の上に祝福と平安あれ)はまずアッラー(スブハーナ ワ タアーラー)に感謝と讃美とを捧げてから、次のように語りました。

人々よ、あなた方の主はひとつであり、あなた方の父も一人であることをよく知っておきなさい。あなた方は皆アーダムの子であり、アーダムは土から創られました。アラブがアラブではない者よりも、あるいはアラブではない者がアラブよりも優れている、などということはありません。白い者が黒い者よりも、あるいは黒い者が白い者よりもすぐれている、などということもないのです。アッラーの御前において、誰かが優れているというのは、ただ篤信においてのみです」。

本当に、あなた方の生命、財産、そして名誉は、あなた方お互いにとり神聖なものです。それはこの月、この日、この町が、あなた方にとり神聖であるのと同じことです」。

その日、預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)はあらゆる種類の利子と、流血の危害とを退けることを宣言しました。

何世紀も前から、彼は女性の権利、女性の尊厳とその不可侵性について、ムスリムに対し、「気をつけなさい。あなた方が女性に対しある種の権利を持っているのと同じように、彼女たちにもあなた方に対する権利があるのです」と警告していました。

人々よ、しっかりと耳を傾けなさい。ムスリムは、全員が互いの同胞です。自由な選択により、自らすすんでそうするのでない限り、同胞の持っているものを勝手に取り上げるのは決して正当化されないことです。不正を働いてはいけません。何であれ、借りたものを返さねばならず、借財は返済されねばなりません。託されているものは、すべてその正当な所有者に返さなくてはなりません」。[i]
私は、ふたつのものを後に遺していきましょう。それはクルアーンと、私という規範、スンナのことです。それらに従う限り、あなた方が道に迷うことはないでしょう」。[ii]

[i] Musnad, VII, 307, 330, 376; Bukhari, Hajj, 132, Maghazi, 78; Muslim, Hajj, 147.
[ii] Muwatta’, Qadar, 3.


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