東京ジャーミイ 金曜礼拝のホトバ「魂を傷つけないで」

金曜礼拝のホトバ

「魂を傷つけないで」

 

 

 

 

尊敬すべきムスリムの皆様!
かつて預言者ﷺのムアッズィンをつとめる名誉を得ていたビラール・アル=ハバシと、すぐれた教友のひとりアブー・ザッル(ra)が、争いになったことがありました。争いの中で、アブー・ザッル(ra)がビラールのことを「黒い女の息子」と呼んだ、と知ったアッラーの使徒ﷺは、アブー・ザッルにこう警告しました。「アブー・ザッルよ! 母の肌の色を理由に、おまえはビラールをおとしめ、辱めようとしたのか。それならおまえは、いまだにジャーヒリーヤを引きずる者だ。」1

親愛なる信仰者の皆様!
私たちの崇高な宗教であるイスラームに従うなら、すべての人は言葉や人種、肌の色、性別、宗派や信条の別なく、誰もが価値ある、尊重されるべき存在です。人間は、あらゆる被造物の中でもっとも誉れ高い存在であり、その尊厳に見合った人生を送るにふさわしい存在です。誰であろうとその生命、財産、名誉は重んじられねばならず、侵害されてはなりません。私たちの間には、タクワー、すなわち主(swt)に背くことなく、主の命じるところに従い、主の喜びを得ること以外に、互いの優劣をはかるものはありません。実にホトバの始まりに引用した章句の中で、全能のアッラー(swt)は次のように告げておられます。「人々よ。本当にわれらはあなたがたを男と女とに創造し、また民族と部族にしておいた。これはあなたがたに、互いのことを知り合うようにさせるため。アッラーの御許においては、あなたがたの中でもっとも貴い者とは、あなたがたの中でもっとも畏れる者のこと。本当にアッラーはすべてを知り、熟知している。」2 また、私たちの預言者ﷺは、ハディースの中で全人類に対しこう伝えています。「人びとよ、あなたがたの主は唯一であり、またあなたがたの父アーダムも唯一である。ただタクワー(篤信)の他に、アラブが非アラブよりも、あるいは非アラブがアラブよりもすぐれているなどということもなければ、白い者が黒い者よりも、あるいは黒い者が白い者よりもすぐれている、などということもない。」3

親愛なる信仰者の皆様!
世界への慈悲として遣わされた預言者ﷺは、
لاَ تَحَاسَدُوا ، وَلاَ تَدَابَرُوا ، وَلاَ تَبَاغَضُوا ، وَكُونُوا عِبَادَ اللّٰهِ إِخْوَانًا
「互いに妬まず、互いに背を向けず、互いを憎むな。アッラーに仕える者たちよ、互いに同胞であれ」 4と、私たちに警告しています。ですから、相手の権利と法とを尊重しましょう。互いの違いこそ、私たちの最大の財産であると考えましょう。愛と優しさの絆でつながりましょう。
اِنَّمَا الْمُؤْمِنُونَ اِخْوَةٌ فَاَصْلِحُوا بَيْنَ اَخَوَيْكُمْ 「信仰者はひとつの同胞である。同胞どうし、調和しなさい」 と命じられているとおり、破壊的にではなく、建設的でありましょう。分裂するのではなく、団結しましょう。「魂を傷つけてはならない、アッ=ラフマーンの玉座を傷つけてはならない」5 という感性を持ち、周囲にいるすべての人に、また命あるものにもそうでないものにも、愛と思いやりをもって接しましょう。私たちの団結と連帯、社会の平和と安定を損ねるあらゆる言葉や態度、行動に抵抗するようつとめましょう。団結と連帯、同胞愛を持ち続ける限り、克服できない障害も、解決できない問題もないということを忘れないようにしましょう。

[1] Muslim, Ayman, 38; Bukhari, Iman, 22.
[2] Hujurat, 49/13.
[3] Ibn Hanbal, V/411
[4] Bukhari, Adab, 57.
[5] Hujurat, 49/10.


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とうきょうジャーミイ きんようれいはい の ホトバ(ひらがな と カタカナ)(PDF)