リファット・チナル(東京ジャーミイ イマーム)より マウリドに寄せるメッセージ

Muhammet Rıfat ÇINAR

リファット・チナル(東京ジャーミイ イマーム)より マウリドに寄せるメッセージ

10月17日(日)の夜はマウリド・アン=ナビーです。マウリド・アン=ナビーとは、真理と真実の体現者、現世と来世の師、私たちの導きにしてもっともすぐれた模範、世界の誉れである預言者ムハンマド・ムスタファ(彼の上に祝福と平安あれ)が誕生した記念日です。

私たちをこの聖なる夜に導きたもう全能のアッラーを讃美します。また私たちの預言者に、光栄にも私たちが属する彼のウンマに、そして彼の家族とサハーバたちに、サラートとサラームがありますように。

例年通り、今年もマウリドの夜を含む1週間を「マウリド・アン=ナビー週間」として祝します。宗務庁は今年の「マウリド・アン=ナビー週間」のテーマを「預言者と忠誠の社会」としました。忠誠心とは、個人にとっては価値と尊敬であり、社会においては平和と幸福です。

クルアーンの中の物語では、成熟した信仰者の資質とは何かを挙げつつ、誓いに対しては忠誠を示すことが彼らの特徴であることが指摘されています。また、預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、その人生における行動を通して、信仰者にとり最善の生き方とは何かを示しています。

私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)の人生は、アッラーの命令に対する、家族に対する、友人に対する、そして周囲に対する忠誠の例で満ちています。イスラームにおける預言者たちそれぞれへの忠誠、あるいは自分が後に残してゆくであろうウンマへの忠誠、あるいは自分を追放した故郷への忠誠、そして生けるものやそうでないものすべてへの忠誠など、彼の忠誠心には多くの模範があります。

彼は生涯を通じて忠誠心が美徳であることを教えました。約束を果たし、合意は守ることから、彼が延べ伝えた宗教を信じなかった人々からさえも「アル=アミーン(信頼に足る者)」として知られていました。

約束に従って行動することを信仰の一部と考え、生涯を通じて忠誠心の最良の例を示した私たちの預言者(彼の上に祝福と平安あれ)は、アッラーを崇拝するにも、その恩恵に感謝するにも、また人間関係のすべてにおいても、忠誠心こそが道徳的な態度であるとみなし、そのすべてを人生の中に反映させていたのです。困難な状況や、ささやかな善行の中においても、忠誠心の大切さを強調しました。戦時下のようなもっとも困難な時であってさえ、彼はどのような約束も違えることはありませんでした。

「いいや、そうではない。自分のした約束を果たし、畏れる者。本当にアッラーは、畏れる者を愛する。」
(聖クルアーン 3章76節)

この場を借りてマウリド・アン=ナビーの夜を祝うとともに、この一週間が私たちの愛すべき祖国とその人々にとり、イスラーム世界にとり、そして全世界にとり幸福をもたらすものとなるようお祈り申し上げます。

ムハンメット・リファット・チナル
東京ジャーミイ イマーム